《出席者の募集》
ロシア軍にフィフが正式編入された頃、テイル達はアラスカ陥落を受けて開催されることになったNATOの緊急会合に誰が出席するかで大いに揉めていた。
「……またNATOの会合があるのかぁ……」
「どうする、テイル? 誰が行く? というかお前が行くか?」
「……うーん……私は前回の会合である程度は顔見せができたからなぁ……」
「それなら俺が行こうか? 国軍総司令として各国代表に顔見せをしておいた方が良いだろうし」
「……そうだねぇ……うん、わかった。アラスカ戦の報告も頼みたいし、エストに行ってもらおう」
「わかった、任せておいてくれ」
「うん、任せた。あとはもう二人ぐらいに行ってもらいたいんだけど……」
「……」
NATOの会合にエストを派遣することを決めたテイルの次の発言に無言になってしまった一同。
そんな一同の様子を無視してテイルが話を進める。
「顔見せ関連で考えるとアーシアとジャンも除外されるわね」
「むう、なぜじゃ? ジャンはともかく、なぜにそこの無能はNATOの会合で顔見せをせんで良いのじゃ?」
「アーシアは私と一緒に前回の会合に出席したからねぇ。私達と一緒で顔見せは終わってるのよ」
「むう、そうか……ちっ! せっかく無能に押し付けてやろうと思ったのに……」
「ろくでもないことを押し付けようとすんな、この腐れ魔族!」
「やるか? 無能エルフ」
「二人ともやめなさい。怒るわよ?」
「ごめんなさい……」
「……むぅ、すまぬ……」
ケンカを始めそうになったアーシアとリューネルンに圧放ちながら止めていったテイル。
そんなテイルがNATO会合の次の出席者候補の名前を上げた。
「やれやれ……あ、そうだ、揉め事を起こそうとしたリューにはちょうどいい罰則かも」
「……む?」
「リュー、あなたもNATOの会合への出席を命じます」
「ふぁっ!? ちょっ、待て、テイルや! どうしてわらわがそのような退屈そうな会合に出席せねばならんのじゃ!?」
「さっき話したでしょ? 罰則だって。だから頑張ってね?」
「う……ぐぅ……」
「もし万が一フェリアシティ王国の評判を下げるような言動をしたら、本気で怒るからね?」
「む……ぬぅ……」
「返事は?」
「……わかりました……」
テイルの圧に負けたリューネルンが、がっくりと肩を落としながらテイルに返答していく。
これを見たテイルが出席者三人目になる者がいないかを尋ねる。
「これであとひとりか。誰がいないかな?」
「……わかった、私が行こう。これで良いだろう? テイル」
「ジェーン姉様が行ってくれますか、ありがとうございます。それでは以上の三名にお願いしますね」
テイルは立候補してきたジェーンと、エスト、リューネルンの三人に笑いかけていった。
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