《フィフの実力 その四》
キャンベルへの軽い慰めを終わらせたトーリアは、キャンベルを連れてすぐにヴォロシンスキー達と合流し、イグナイエルの元に帰っていった。
そうしてヴォロシンスキーとトーリアはイグナイエルにフィフのロシア軍への正式編入の許可を出すかどうかを尋ねていく。
「陛下、フィフ殿とキャンベル殿、二人とも無事に帰ってきました」
「うむ。皆、ご苦労だった」
「ありがとうございます。それで陛下、フィフ殿のロシア軍への編入の件、ご許可をいただけますでしょうか?」
「うむ、許可しよう。フィフ殿、テイルとの戦いになった時には、期待していますよ?」
「ほ~い、了解。それにしてもテイルってのと戦える時が今から楽しみだよ。本当に私を満足させられる相手かどうかがわかるはっきりわかる時だからね」
「……そうだな」
「微妙な顔をしてるね。なんでなの?」
フィフの発言に微妙な表情を見せるトーリアに、フィフが尋ねる。
これにトーリアが微妙な表情のままで答えていく。
「……いや、お前用のマシンアーマノイドをどうしようかと考えていたんだ。さっきの戦闘風景を見る限り、テイルと同じように並の機体ではお前の反応速度にはついていけないだろうからな」
「ふ~ん、そうなんだ。それじゃあついてこれる新型の専用機、待ってるよ~」
軽くこう口にしたフィフに、トーリアが相変わらず微妙な表情で答える。
「……そうしたいところなんだが、そういう専用機を建造するとなると莫大な資材と資金が必要になってくる。そう簡単に作れる物ではないんだよ……」
「ええー? なんとかなんないの? その人王様でしょ?」
そう言ってフィフがイグナイエルを指差した。
これにヴォロシンスキー達は大慌てでフィフを取り押さえようとしたのだが、そんなヴォロシンスキー達をイグナイエル自身が制止してトーリアに話し掛ける。
「王ではなく皇帝なのだが、まあ細かいことは良いだろう。それよりもトーリア殿」
「はっ、なんでしょうか?」
「資材と資金はロシア政府がなんとかしよう。だからフィフ殿とトーリア殿、それに乗機を破壊されたキャンベル殿の機体も建造すると良い」
「! ……よろしいのですか?」
「この戦争に勝つためには必要不可欠なことなのだろう? ならば構わんよ」
「……わかりました。現時点で最高のマシンアーマノイドを建造すると約束いたしましょう」
「そうか。それでは決まりだな。フィフ殿、貴女のロシアへの正式編入を許可しましょう」
「あざまーす」
「おい、フィフお前!!」
「良い、構わん。期待していますよ、フィフ殿」
「ほーい」
自由奔放なフィフの言動を一切責めることなく、ロシア軍への正式編入を許可したイグナイエル。
こうしてロシア軍にフィフの編入が正式に決まったのである。
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