《魔王軍との交渉 その二》
イグナイエル皇帝の報告を聞いたフレイルは、意外にもロシア軍のことを手放しで誉めてくる。
「ほう! それは良いことではないですか。やはりあなた方新共産同盟と手を組んだのは大正解でしたな!」
「……あ、ありがとうございます」
「うん? どうされたかな、イグナイエル陛下?」
「あ、いえ、申し訳ない。この喜ばしい報告のあとに、頭の痛くなる話題をしなければならないのか、と憂鬱な気持ちになっていましたから……」
イグナイエル皇帝はフレイルの予想外の反応に狼狽えたことの言い訳をそのように話したあと、本題とも言えるテイル対策についてフレイルに尋ねる。
「む? 頭の痛くなる話題? それは一体なんですかな?」
「……テイル・フェリアシティについて、です……」
「……ああ……」
「……フレイル陛下にはなにか対策がありますか……?」
「……あればすでにやっているよ、イグナイエル陛下……」
「……そうですよね……」
「……はぁ……」
イグナイエル皇帝は今回の会談の本題、テイル対策についてフレイルに尋ねるも、フレイルからも対策ができるならすでに対策をしている、そう言われたイグナイエル皇帝は、フレイルとまったく同じタイミングで大きな溜め息を吐いた。
するとこの様子を見ていたオブルクが二人に対して休憩してはどうかと提案を行なう。
「……お二人とも、少しよろしいでしょうか?」
「うん? どうした、オブルク?」
「なにかありましたかな?」
「会談を始めたばかりで恐縮なのですが、ご休憩をなさってはいかがでしょうか? そして休憩時間中にテイル対策を考える、というのは?」
「……ふむ?」
「……なるほど……」
「いかがでしょうか? もちろんこのまま会談を続けられても大丈夫なのですが……」
「……そうだな、少し休憩しましょうか?」
「ええ、そうしましょう」
「わかりました。それで会談の再開はいつにしましょうか?」
「……三十分後で良いでしょうか?」
「はい、そうしましょう」
「それでは三十分後に」
「はい、三十分後に」
互いにそう言い合って一度通信会談を終わらせたイグナイエル皇帝とフレイル。
そのフレイルは通信会談を終わらせた直後からオブルクと話し合いを始める。
「突然の会談の申し込み、なぜかと思えばテイル対策だったか……」
「困りましたな……テイルが人間界に向かったと聞いて、これでしばらくはテイルのことを考えなくていい、そう思っていたところでしたのに……」
「だが話題に出された以上仕方あるまい。なにか考えなければ……」
そう言うとフレイルとオブルクはテイル対策について考えを巡らせ始めた。
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