《アラスカ攻略戦の結果報告 その一》
テイル達がカナダ軍基地で休んでいるのと同じ頃、ロシア本国に帰還したヴォロシンスキーとトーリアの二人はロシア皇帝、アレクサンドル・イグナイエルが開いた会議に出席していた。
この御前会議でヴォロシンスキーとトーリアはアラスカ侵攻の推移と結果、このあとのNATO諸国との戦闘で発生しそうな諸問題を各部署の者達に報告していった。
「皆様、遅れてしまい大変申し訳ありません。ロディオン・ヴォロシンスキー、只今帰還いたしました」
「トーリア・バグダリスです。この度はロシア帝国への正式編入を認めていただき、大変嬉しく思っております」
「二人ともよく戻ってきてくれた。そして帰還直後で疲れているであろう二人を呼び出してすまないと思っている」
「大丈夫ですよ、陛下。今からお伝えする情報は、一刻も速く全員が共有しなければならない情報なのですから」
「そうか……そう言ってくれるとこちらも助かる。それでは早速になるが、報告を行ってもらおうか」
「はっ!」
イグナイエル皇帝の言葉に敬礼で答えながら、ヴォロシンスキーが報告を行っていく。
「まずトーリア殿が提供してくれたアメリカ軍の情報ですが、これはすべて正確な物であると実証されました」
「おおっ! そうか!!」
ヴォロシンスキーの言葉に会議の出席者達から歓喜の声が上がる。
この声が落ち着いたタイミングに合わせて、ヴォロシンスキーが次の報告を始める。
「この情報のおかげで我がアラスカ侵攻部隊はほとんど苦もなくアラスカ全域の攻略に成功いたしました」
「おおおっ!! これでカナダやアメリカに直進できる橋頭堡の確保ができましたな!!」
「これはこのまま進撃を続ければカナダを、そしてアメリカを攻略できるのではありませんか!?」
「陛下! どうかカナダ進撃のご許可を!!」
ヴォロシンスキーの報告を聞いた出席者達が、興奮しながらイグナイエル皇帝にカナダ攻略の許可を求めていく。
しかしイグナイエル皇帝は彼らの要望には大きな反応を示さずに、ヴォロシンスキーに問い掛ける。
「一同はこう言っているが、ヴォロシンスキー、君の意見を聞きたい。我々はカナダ攻略を行うべきかな? それとも止めておくべきか。どちらかな?」
「私はカナダ攻略は行わない方が良いと確信しております」
「根拠は?」
「無理をすればカナダ軍、アメリカ軍、日本軍には勝てるでしょう。ですがフェリアシティ王国軍、これに我らは勝てないでしょうから」
このヴォロシンスキーの言葉に出席者達はざわついた。
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