《テイル対ロシア軍 その十二》
キャンベル機を軽く殴り飛ばしたテイルは気持ち良さそうに背伸びをすると、笑顔を見せながら呟いていく。
「あー、スッキリした! それじゃそろそろ帰るかな。多分皆心配してるだろうし」
テイルはこのように呟くと味方部隊が撤退した基地に向けて飛び立とうとする。
そんなテイルに、マシンアーマノイドを軽く殴り飛ばしたことに衝撃を受けて呆然としていたヴォロシンスキーが声を掛けた。
「……あ、テイル陛下……」
「ん? ああ、ヴォロシンスキー閣下ですか。どうかしましたか?」
「あ、いえ、特にこれといったことはないのですが……」
「そうですか? それなら私はこの辺で失礼させていただきます。ヴォロシンスキー閣下、さようなら。ご機嫌よろしゅう」
「……わかりました。陛下もさようなら。ご機嫌よろしゅう」
テイルはこのヴォロシンスキーの挨拶にはなにも答えず、味方部隊の撤退基地まで飛んでいく。
その様子を黙って見つめるヴォロシンスキーに、トーリアが話し掛けた。
「……閣下、少しよろしいですか?」
「……なにかな、トーリア殿?」
「キャンベルの回収に行きたいのですが、許可していただけるでしょうか?」
「うん? キャンベル君の回収に行きたい? その必要があるのですか?」
「あのテイルに殴り飛ばされたところの最後、地面に激突して激しく転がっていったところ。意識があれば途中で止まろうとするなどをすると思うのですが、」
「キャンベル君はなにもしないで転がって行きましたね。なるほど、気絶しているということですか。わかりました、キャンベル君の回収を許可しましょう」
「ありがとうございます。それでは行ってきます」
ヴォロシンスキーの許可をもらったトーリアがキャンベルの救出に向けて動き出す。
そうしてキャンベルを無事に回収したトーリアがヴォロシンスキーの元に帰ってきたところで、ヴォロシンスキーがロシア軍部隊に誰がどの基地の守備を担当するかを決めていく。
そうしてすべての部隊配置を終わらせたヴォロシンスキーはトーリア、キャンベル両名とアラスカに配置しなかった部隊を引き連れてロシアに帰還していった。
その一方でテイルはアラスカからカナダ軍基地に撤退を完了させていた味方部隊と合流、トーリアとヴォロシンスキーから聞いた情報を味方部隊に伝えていく。
「……むぅ、新型マシンアーマノイド三機に拠点防衛用の超巨大機動兵器建造、ですか……」
「そしてロシア軍はその四兵器が完成するまで動かない、と。貴重な情報をどうもありがとうございます、テイル陛下」
「ありがとうございます。とりあえずはゆっくりと休んで、それから解散としますか?」
「そうですね、そうしましょう」
この言葉通りにゆっくりと休んだテイル達。
こうしてアラスカを巡る攻防は幕を閉じた。
閲覧、感想、評価ポイント、ブックマーク登録、いいねありがとうございます!




