《テイル対ロシア軍 その十一》
テイルの発言に怯えて少しずつ後退していくキャンベルの姿を見たトーリアは、ヴォロシンスキーに少しで良いからなにか情報を話すように頼んでいく。
「……閣下、申し訳ありません。少しだけで良いので、テイルにこれからのロシア軍がどう行動していくかを話していただけませんか?」
「ふむ、キャンベル君が心配ですかな?」
「それはもう。このままではしばらく脳裏にこびりついて離れないトラウマを植え付けられてしまいます」
「なるほど、それは大変だ。わかった、少し話してみるとしよう」
トーリアの頼みを聞いたヴォロシンスキーは、キャンベル機にジリジリと近付いていくテイルに少しだけなら情報を話すと伝えていった。
「テイル陛下、少し止まっていただけませんか?」
「うん? どうしたの? なにか話す気になった?」
「ええ。ですからキャンベル君に近付いていくのは待ってください」
「……わかった、止まるよ。だから話してね?」
「わかっていますよ。それではお話いたします。我々はこの戦いが終わったあと、この地の防衛部隊を選び、その者達にこの地を任せたあと本国に帰ります」
「ふむふむ、それで?」
「……しばらくの間はトーリア殿が開発する新型マシンアーマノイドと拠点防衛用の超巨大機動兵器が完成するまでは動かずにいようと思っています。こんな物でいかがでしょうか?」
ヴォロシンスキーはそう言うとテイルの反応を窺っていく。
そのテイルはとりあえず情報を得られたということでキャンベル機への攻撃を完全に停止させ、どれぐらい時間が経過したかを確認していった。
そして最初話していた九分が経過していたので、テイルはこの基地から撤退を始めるという考えをヴォロシンスキー達に伝える。
「うん、良い感じだね。それに加えて時間も良い感じだし、そろそろ帰るわね。ヴォロシンスキー閣下にトーリア、さようなら。できればしばらくの間は遭遇しないことを祈っておきます」
「そうですね。こちらも陛下に遭遇しないことを祈っておきます」
「俺は改造が終わり次第戦いたいと思っているがな」
「しつこいね」
「そう思うならさっさと殺されろ」
「嫌よ、絶対」
「ふん」
「ふん」
最後の応酬で互いにそっぽを向いたテイルとトーリアに苦笑するヴォロシンスキー。
そんな三人の様子を見ていたキャンベルが隙ありと言わんばかりにテイルに襲い掛かる。
しかしテイルはキャンベル機の攻撃をあっさりと受け止めると、カウンター気味の左ストレートの一撃でキャンベル機を一キロ先まで殴り飛ばしていった。
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