《テイル対ロシア軍 その五》
トーリアの説明にロシア軍将兵全員がドン引きするなか、レーザーソードを片手で受け止めている状態のままでいたテイルがトーリアに話し掛ける。
「よう、トーリア久しぶり」
「……久しぶりだな、テイル」
「ロシアのみんなへの説明は終わったかな?」
「大体終わったよ」
「そう。それじゃ戦闘再開といきますか」
トーリアの返答を聞いたテイルが受け止めていたレーザーソードを軽く押し返す。
そうしてできた僅かな時間で、テイルはレーザーソードを振り下ろしていたマシンアーマノイドに一瞬で接近すると、腰に下げていた剣を振り抜く。
そうして剣を振り抜いたテイルは、すぐに剣を鞘に納めていった。
するとその直後、テイルに剣を振り抜かれたマシンアーマノイドが音もなく真っ二つになって落下し始め、地面に落ちると同時に爆発して跡形もなく吹き飛んだのである。
この光景にロシア軍将兵一同が凍り付くなか、テイルがロシア軍将兵に語り掛ける。
「言い忘れていたけれど、私の居合いは光速より速いよ。だから私が剣に手を掛けた時には斬られたかもしれないって思った方が良いよ?」
「……ひっ、ひいっ!?」
テイルの発言にドン引き状態からパニック状態になったロシア軍将兵一同が我先にと逃げ出そうとするなか、態勢を立て直していたキャンベルがテイルに向かっていく。
「逃げるなら早く逃げた方がいいよ。逃げないやつは容赦なく斬り倒すから」
「ひえっ! 撤退だ! 急いで撤退しろ!」
「は、はいっ!!」
「……これであとは待ってれば全員帰るかな……? それとももうちょっと暴れて被害を出させるかな?」
「そうはさせない! お前の足止めをさせてもらう!」
「うぁ? ……ああ、キャンベルか。なに? 私と戦うの?」
「戦うつもりはない! あくまでも足止めだけだ!」
「なぁにそれ? そんな消極的な考えで私の足止めができるって本気で思っているの?」
「黙れ! とにかく足止めはさせてもらう!」
こうして始まったテイルとキャンベルの一騎討ち。
この一方で現場の将兵が勝手に撤退の方針を出し、撤退を始めたことについてトーリアがヴォロシンスキーに尋ねる。
「……ヴォロシンスキー閣下、一つ聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」
「構わんよ、トーリア殿。それでなにを聞きたいのかな?」
「先ほど現場の将兵が独断で撤退を始めました。閣下はそれを許されるのですか?」
「うん? ああ、そうだが? 不思議なことかな?」
ヴォロシンスキーは不思議そうにトーリアに目を向けた。
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