《テイル対ロシア軍 その四》
テイルに振り下ろされたレーザーソードに、振り下ろしていったロシア軍兵士も、その様子を見ているロシア軍兵士達も、落下しているキャンベル達も、この場にいる誰もがテイルの信じて疑わなかった、その瞬間。
テイルは自身に向けて振り下ろされたマシンアーマノイドのレーザーソードを、あっさりと片手で受け止めてしまった。
その状況にロシア軍部隊全員が思考停止の状態に陥り、完全に動きを止めてしまう。
その状況にモニタリングしているトーリアが叫んだ。
「お前らなにをやっている! 動け! 戦え! 皆殺しにされるぞ!!」
このトーリアの叫びにまずキャンベルが反応し、地面に落下した状態のままでトーリアに尋ねる。
「……隊長、隊長はテイルのこれを知っていたのですか?」
「当然だろう、かつては一緒に戦っていたんだからな」
「それなら一言注意を呼び掛けるぐらいはしてほしかったのですが……」
「以前の戦いでワイバーンに戦闘経験をさせて進化させると言っていたんでな。この段階でワイバーンから降りて戦うなど思ってもいなかった」
「隊長……」
「それについては素直に謝る。すまんかった」
「……わかりました。それで我々はこのまま戦えば良いんですね?」
トーリアの発言や謝罪を聞いたキャンベルが生身のテイルとの戦い方について質問をすると、トーリアからは意外な答えが返ってきた。
「いや、お前はテイルの足止めをするように戦い、他の連中はすぐに退かせろ。最悪の場合全滅するぞ」
「……え? 全滅?」
「ああ、全滅だ」
「……」
トーリアの返答を聞いたキャンベルが無言になるなか、今度はヴォロシンスキーがトーリアに質問する。
「我が軍の部隊が全滅するとはどういうことかな、トーリア殿? テイル陛下はマシンアーマノイドの……ワイバーンか? あれから降りたというのに……」
「逆です」
「逆? 逆とはどういうことかな、トーリア殿?」
「テイルはワイバーンを降りて弱体化するのではなく、ワイバーンを降りたら強化されます。だから逆だと言ったのです」
「……どういうことかな、トーリア殿?」
トーリアの説明を聞いてヴォロシンスキーはどういうことかな、というフレーズを繰り返す。
それに対してトーリアがさらに説明をしていく。
「どういうことかなと言われましても話したとおりなので。テイルはワイバーンの戦闘経験のためだけにワイバーンに乗っているだけです。今のマシンアーマノイドの建造技術ではテイルの能力に機体がついていけないですから、ワイバーンにできる限り多くの戦闘を経験させて進化させる必要がありますから」
この説明にヴォロシンスキーを含めたロシア軍全部隊は、なんだその悪い冗談は? という表情でトーリアを見ていった。
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