《テイル対ロシア軍 その三》
テイルの手によって友軍機三機をあっさりと撃破されたロシア軍部隊にさらなる動揺が起こるなか、爆煙のなかから一機のマシンアーマノイドが飛び出してきてワイバーンに組み付いていった。
「うん? あなたは、いや、お前確かキャンベルとか言ったな? トーリアの腰巾着の」
「腰巾着……ね。まあなんとでも言うと良い。おいロシア軍部隊!」
「え? 俺達?」
「ああそうだ、お前らだ!」
「……一体なんの用だ!」
「この機体の胴体部分は俺が抑えておく! お前達は両腕と両足を二体がかりで抑え込め!」
「なにっ!?」
「合計九体でこの化け物を抑え込む! そうして身動きのできなくなった化け物のコクピットを貫いてやれ!」
「いや待て! そんなことをしたら抑え込んでいる九体は、いや、他の八体はなんとか助かるかもしれんが、お前は、お前も化け物と一緒に死ぬことになるぞ!?」
キャンベルの作戦を聞いたロシア軍部隊がこう話してキャンベルの身を案じたのだが、キャンベルの考えは変わらなかった。
「そんなことはわかっている! だがこの化け物を倒すにはそれぐらいしか方法がない! わかったらさっさと動け!」
「……ええい、誰でもいい、あの化け物の身動きを封じに行け!」
「了解しました!」
キャンベルを心配する言葉を発しながらも、最終的にキャンベルの作戦に受け入れてワイバーンの身動きを封じ込める行動を始めるロシア軍部隊。
そんなロシア軍部隊の動きに対してテイルは、今の状況がそれほど問題ではないかのような言動を行う。
「ほ~、全部で九体も使ってこっちの身動きを封じるんだ。ロシア軍も頑張るねぇ」
「……そんなに呑気に話している場合か? もうすぐ身動きができなくなるんだぞ?」
「そんなことをされても私の勝ちは揺らがないからね」
「……はぁ、そうか。まあいい。これで両腕と両足も抑えた。あとはコクピットを潰すだけだ。聞こえているな? やれ」
テイルの返答を聞いたキャンベルが溜め息を吐きながらロシア軍部隊に止めを刺すように指示を出す。
これに応じたロシア軍機がワイバーンに向けて突っ込んでくるなか、テイルがボソッと呟いた。
「……戦闘経験の収集はもうしっかりできたからね。ワイバーンはちょっと休んでてね?」
そのように呟いたテイルはワイバーンを指輪に収納していく。
このテイルの行動でワイバーンを抑えていたキャンベルを含めた九体は突然目標が消失したことでバランスを崩して落下していき、ワイバーンに突っ込んでいたロシア軍機は振りかぶっていたレーザーソードを直前までワイバーンがいた場所に留まっているテイルに対して振り下ろしていった。
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