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多元世界戦記 ~テイル奇譚~   作者: 篠原2
第一章 外交とかつての仲間達

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《テイル対ロシア軍 その二》

イワン搭乗機の残骸を見つめるばかりで反応しない自軍将兵に代わり、ヴォロシンスキーがテイルに話し掛けていく。


「ふむ、スペツナズの対異世界人部隊所属の塀を瞬殺か。見事なものだ」


「それはどうも」


「しかし陛下はスペツナズだと聞いて狼狽えていたはず。しかし結果は陛下が彼を秒殺しての勝利となりました……あの狼狽えていた時間は一体なんだったのですか?」


「あれですか? あれは狼狽えていたのではなくて、スペツナズが初めて聞く単語だったからスペツナズってなんだろう? って考えていただけですよ」


「……なるほど、そういうことでしたか……」


「ええ。でもあんなにあっさり倒せたということは、それほど有名な部隊ではない、ということですよね?」


このテイルの返答と質問に、ヴォロシンスキーに通信を繋げながら聞いていたロシア軍将兵は絶句する。

その一方で、テイルと会話をしていたヴォロシンスキーがテイルの質問に答えていった。


「スペツナズというのは我がロシア軍最強の特殊部隊のことを言うのですよ。それに対異世界人部隊はスペツナズでも最強クラス、それが勝てないのはまだわかるとして、まさか秒殺されるとは思ってもいませんでしたよ」


「ほう、スペツナズはロシア軍最強の特殊部隊ですか。それをあっさり倒せたということは、ロシア軍は私の敵ではない、ということですね?」


ヴォロシンスキーの説明を聞いたテイルが放った一言に震え上がるロシア軍将兵一同。

そんな彼らにテイルは攻撃再開の宣言を行う。


「……我々が……敵ではない……」


「……そんな……」


「どんな化け物なんだよ……」


「……なんかいろいろと感想があるっぽいけど、そろそろ攻撃を再開させるよ。あなた達とは敵同士だけど、頑張ってね?」


「……くっ、総員、構え!」


「おう!」


「撃てっ!」


テイルの発言に対して怯えながら、ロシア軍側も攻撃を再開させるように指示を出す。

そうして攻撃を再開させたロシア軍部隊に、テイルはワイバーンのレーザーソードを二刀持ちのまま、ロシア軍の攻撃を避けたり魔導シールドで弾きながら接近していく。


「この程度なら避けるのはそんなに難しくないし、魔導シールドで弾くのも難しくない。簡単に近付けちゃうね」


「ひっ!? 止められない!?」


「構わん、撃てっ! 撃ちまくれ!」


「……よっと、ほいっと。はい、接近完了。んじゃいくよ?」


「うわっ!?」


「ひえっ!?」


「ぐわぁっ!?」


ロシア軍部隊の弾幕のなかをあっさりと進んでいったワイバーンは、手にしていたレーザーソードを振り抜き、ロシア軍部隊三機を両断していった。

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