《状況説明終了》
テイルの話を聞き、その余裕の笑みを見たカナダ軍将兵と日本軍将兵は、その余裕の笑みに背筋を凍らせる。
そんな一同にテイルがさらに話し掛けた。
「ちょっと皆さん、私の顔を見て震えている場合じゃないですよ」
「え?」
「皆さんがこれからやることは、私の顔を見て震えることではなく、ロシア軍の総攻撃が始まる前にこの基地から撤退を始めることでしょう? 違いますか?」
「むぅ……確かにそうなのですが、テイル陛下のあの笑い方は怖かったですよ?」
「あら、私のようないたいけな少女に向かって、笑顔が怖いなんて……ひどいですよ、トラウト准将」
テイルの発言を聞いたトラウト達が、この発言にどう答えようか迷い、返答に困っているところでエストが口を挟む。
「テイル、その辺にしておいてやれ。みんな困っているぞ」
「あら、エスト。珍しいわね、あなたが助け船を出すなんて」
「他の奴らは無理そうだと思ったからな。それよりもテイルよ」
「はいはい、なんでしょう?」
「急いで撤退しないといけないのなら、こんなことをするよりも撤退を始めた方が良くないか?」
「……まあ、そうだけど」
「それなら今やることは?」
エストの言葉を聞いたテイルは、少しだけ残念そうにしながらトラウト達にこの基地から撤退するように指示を出す。
「……む~、仕方ないなぁ……わかったよ、そうするよ。トラウト准将、一条准将、部隊の撤退を始めてください。もしもの時の時間稼ぎは私がやりますから」
「テイル女王……」
「良いですね?」
「……わかりました。直ちに全部隊の撤退を始めさせます」
テイルの指示を聞いたトラウト達が、ようやく撤退を始めると話したことでテイル達も撤退に向けて動き出した。
「エスト、私は最後に撤退するから、私がいない間のフェリアシティ軍部隊はあなたに任せるわよ。良いわね?」
「わかった、引き受けよう」
「ありがとうね、エスト。というわけでみんな、みんなはエストの指示に従って撤退してね?」
「わかったわ」
こうしてテイル達も撤退方針を確認したところで、ついに基地からの撤退が開始される。
そうして今、テイル以外のカナダ軍、日本軍、フェリアシティ軍全部隊が撤退を完了させた基地で、テイルとロシア軍の戦いが始まる。
「……と、いうことで私以外の者達は全員撤退を終わらせました」
「なるほど、今回はしてやられたというわけだ。しかし私は一人で残ったあなたの身が心配ですよ。ようやく面白そうな相手と戦えるかもしれないとなった時に、その相手が我々の総攻撃を一身に受けるかと思うと……」
ヴォロシンスキーはそう言うと派手に嘆いてみせた。
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