《テイルとヴォロシンスキー》
部下の通信越しにテイルの発言を聞いたヴォロシンスキーが嬉しそうに声を上げる。
「ほう! こちらの攻撃開始時刻が早いだろうということを予測して退却開始の時間を早めたか! そうでなくては面白くない! 良いぞ、テイル・フェリアシティ!」
「……これから部下共が大変なことになるのが決定したっていうのに、嬉しそうに話すんだな、あんたは……」
ヴォロシンスキーが上げた言葉を聞いたトーリアが呆れた表情を見せながらヴォロシンスキーに声を掛けた。
そんなトーリアに声を掛けられたヴォロシンスキーは相変わらず嬉しそうな様子でトーリアの声に答えていく。
「それは嬉しいさ。ようやく待ち望んだ相手に出会えたのかもしれないのだぞ? これが喜ばずにいられるか?」
「……わかった、もういい、俺が悪かった……それにしてもテイルの奴、あのいつも選んでいる時間をあっさり変えてくるとは、少し驚いたぞ」
「ふふ、ではトーリア殿と私の言葉、彼女に伝えてみようではないか」
このようにトーリアに話したヴォロシンスキーが部下にテイルとの通信の橋渡し役を務めるように命令した。
「君、私はテイル・フェリアシティと話がしたい。すまんが間に入って互いの言葉を伝える役になってくれんか?」
「……わかりました。直ちに行います」
「頼むよ。それでは挨拶から行うか」
そう言ったヴォロシンスキーが部下を通してテイルに挨拶を行う。
「やあ、はじめまして、テイル・フェリアシティ女王陛下。私はロシア軍最高司令官、ロディオン・ヴォロシンスキーという者だ。よろしく頼むよ」
「そうですか。自己紹介をしていただいたので私も自己紹介をしようと思ったのですが、多分トーリアから色々と聞いていますよね?」
「そうですね、色々と聞かせていただいていますよ。例えば陛下が早朝撤退を行うと決めた時に好んで設定する時間が六時だということも、ね」
テイルの問い掛けにトーリアの顔を見ながら答えるヴォロシンスキーに、トーリアが険しい表情を見せるなか、ヴォロシンスキーの発言を聞いたテイルがその発言に答えるように言葉を発していく。
「ええ、そうですね、六時にすることが非常に多かったですからね。おそらくその情報を得ていると思いましたから、今回はいつもより早くに撤退させてもらいました」
「ふぅむ、そうですか。お見事です、テイル陛下。ますます嬉しくなりますねぇ」
テイルの言葉を聞いたヴォロシンスキーはさらに嬉しそうに笑い、目を細めていった。
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