《基地の異変》
アラスカ基地周辺の様子を探り終えたロシア軍兵士はすぐに上官に報告、その報告を受けた上官がヴォロシンスキーに連絡を入れる。
「総司令、基地周辺の探知が終わりました」
「結果はどうであった?」
「基地周辺に不審な物体やその他の異常はありません。平穏そのものです」
この報告を受けたヴォロシンスキーはふむ、と言って一瞬だけ考えたあとで、
「わかった、そのまま警戒を怠らずに前進を継続、行動開始」
そう伝えて通信を終わらせた。
その一方で指示を受けたロシア軍部隊は指示通りに基地への前進を再開させる。
こうして基地の目の前まで近付いたロシア軍部隊は再度ヴォロシンスキーに連絡を行う。
「総司令、こちら攻撃部隊です」
「状況はどうか?」
「基地周辺は静まりかえっていますね。なんの問題もなく接近できました」
「ふむ、そうか……わかった、そのまま警戒態勢を維持しつつ基地内に侵入するように」
「了解です」
そう話して連絡を終えたロシア軍部隊が慎重に基地内に侵入していく。
そうして基地内に侵入したロシア軍部隊が基地の中心地帯までやってきたところである異変に気付く。
「……いくらなんでも静かすぎないか?」
「……確かに、逃げる直前だとしても見張りが少ない」
「……見張りが少ないというよりは、見張りがいない……?」
基地内が静かすぎるという異変に気付いたロシア軍部隊がヴォロシンスキーに報告を行う。
「総司令、基地の様子が妙です。静かすぎる上に見張りの兵が一人も見当たりません」
この報告を受けたヴォロシンスキーがトーリアに目を向けながら報告への返答を行っていく。
「ふむ……これはこちらの攻撃よりも早く脱出したようだねぇ」
「……どうしましょうか、総司令?」
「できることなら追撃を仕掛けて敵の数を減らしたいところではあるが……さてどうするかな? トーリア殿?」
「……本当に脱出しているようなら追撃を仕掛けても無駄だろうな」
「ふむ、そうか。それではそのまま基地の制圧を開始してもらおう」
「了解しました」
ヴォロシンスキーの指示を受け、基地の制圧を始めようとしたロシア軍部隊。
そのロシア軍部隊の前に一人の少女が姿を見せた。
「おお、やっぱり早い時間に攻撃を仕掛けてきたね。こちらも早めに脱出させておいてよかったよ」
「……テイル!」
現れた少女にロシア軍部隊があれは誰だと困惑するなか、少女をテイルだと認識できたキャンベルが声をあげる。
そんなキャンベルに対してテイルは笑顔で手を振っていった。
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