《攻撃開始時間、設定》
トーリアの話を聞いたヴォロシンスキーは特に表情を変えずにトーリアに聞き返す。
「これまではそうだったかもしれんが、君が敵になったことでその考えを変えた、その可能性は考えないのかな?」
「……正直よくわからん」
「ふむ、わからんか。ちなみにわからんと言った理由を聞いて良いか?」
「あいつはその時の立場や状況で躊躇なく自分の考えを変えるタイプだからな、今回は変えないかもしれないし変えるかもしれない。だからわからないと言った」
「なるほど、とりあえず今回は様子見を兼ねてこれまで彼女がよく撤退をした時間になる前に我々が襲撃すれば良い、こういうことかな、トーリア殿?」
自身の疑問へのトーリアの返答を聞いたヴォロシンスキーが、答えを聞いた上での自軍の動き方をトーリアに尋ねる。
これにトーリアが頷いて過去のテイルがいつの時間帯によく撤退をしていたかをヴォロシンスキーに話していく。
「それで良いと思う」
「うむ、それでは過去にテイルがどの時間帯によく撤退していたかを教えてもらえるか?」
「……確か朝なら六時前後が一番多かったはずだ」
「ふむ、では我々は早朝五時に連合軍に襲撃を仕掛けるようにしよう。各員にそう伝えよ。行動開始」
「はっ!」
トーリアの話を聞いたヴォロシンスキーが部下達に命令を下し、部下達も即座に答えて会議室を出ていった。
そうして会議室に残る形になったトーリアとキャンベルにヴォロシンスキーが話しかけていく。
「さてトーリア殿、君は今回は出撃は控えてくれよ?」
「言われなくてもそのつもりだ。まだコルセアの改造が途中だからな」
「うむ、わかっているならそれで良い。それでキャンベル君はどうする? 君もトーリア殿と共に待っているかね?」
「……いえ、自分はどちらでも……」
ヴォロシンスキーの問いに即答できずに言葉を詰まらせたキャンベルに、トーリアが指示を出した。
「キャンベル、お前は出撃しろ」
「隊長?」
「どんな展開になってもあいつが足止め役として最後の最後まで残るはずだ。いわゆる殿、殿軍というやつだ。その場合、こっちにあいつとまともに戦える実力者がいると思うか?」
「それは……」
「いないだろう? だからお前が行け。そして周辺部隊と共同であいつをなんとかしろ。そうしないと甚大な被害が出るぞ?」
「わかりました、そうします」
「ああ。任せるぞ、キャンベル」
「了解しました、トーリア隊長!」
トーリアの指示を受けたキャンベルは翌朝の出撃準備のために会議室をあとにしていった。
閲覧、感想、評価ポイント、ブックマーク登録、いいねありがとうございます!




