《正式編入》
最高指揮官が浮かべた笑みにトーリアが質問を行う。
「なぜ笑うんですか? そんなに面白い話をした記憶はないのですが?」
「いや、すまないな。我々の敵になる者はかなりの人望の持ち主だと思ってな」
「苦戦をするだろう、と?」
「久しぶりに楽しめそうな相手と戦えそうだ。それが嬉しいのかもしれんな」
「将軍……」
最高指揮官の返答に、部下達がなんともいえない表情で最高指揮官を見つめていく。
その時、会議室のドアが開かれ、会議室に一人の兵士が飛び込んできた。
「失礼致します、ヴォロシンスキー総司令!」
会議室に飛び込んできた兵士は最高指揮官にそう言いながら敬礼を行う。
その兵士にヴォロシンスキーと呼ばれた最高指揮官が声を掛ける。
「ノックもせずに入ってくるとは、よほど重要な報告があるのだろうな?」
「はっ! イグナイエル陛下からトーリア殿を特務少将の階級で、キャンベル殿を大尉の階級でロシア軍に編入すると、正式に発表されました!」
「ほう、思っていたよりも早かったな」
兵士の報告を聞いたヴォロシンスキーが特に驚く様子も見せずにそう話すと、この報告の当事者であるトーリアとキャンベルが反応をそれぞれに反応をみせていく。
「大尉か、良かったなキャンベル。昇進したぞ」
「いえ、自分は……それよりも隊長ご自身が昇進したことを喜ばれてはいかがですか?」
「俺は階級なんかに興味はない。テイルを殺すことができれば、あとのことはどうでもいい」
「……そうですか、わかりました。余計なことを言ってしまい、申し訳ありませんでした」
「謝らんでもいい。別に気にしてないからな」
「わかりました」
こうして互いにロシア軍の待遇に関する感想を話したトーリアとキャンベルの二人に、ヴォロシンスキーがこれからの作戦をどのように進めていくかの助言を求めた。
「二人ともおめでとう。早速だが二人に仕事をしてもらいたい。大丈夫かな?」
「問題ない」
「はい、大丈夫です」
「うむ、それでは率直に聞くが、我々はこれからどう動けばいい? カナダ軍や日本軍の動きならある程度の予測ができるが、フェリアシティ軍がどう動くかは情報が少なすぎて予測できん。君達の意見を聞きたい」
このヴォロシンスキーの問いに、キャンベルは困惑の表情をみせたが、トーリアは特に動じることもなくヴォロシンスキーの問いに答えていく。
「テイルなら間違いなく早朝に撤退する方針を執るはずだ。これまでもそうしてきていたからな」
トーリアは自身たっぷりにヴォロシンスキーに話してみせた。
閲覧、感想、評価ポイント、ブックマーク登録、いいねありがとうございます!




