《トーリアの影響》
トラウト達の表情を見たテイルは、この話題をここで終わりにしてもいいかとエストに尋ねる。
これにエストも、次の話題に移った方が良いと判断して首を縦に振った。
「さて、皆さんにわかってもらえたみたいだから、そろそろこの話題を終わらせたいと思っているんだけど、いいかな、エスト?」
「ああ、次の話題も控えているからな」
「そうだね。それじゃあ皆さん、次の話題に移ります。よろしいですね?」
「ええ、大丈夫です」
自身の言葉に頷いたトラウト達を見たテイルが次の話題に移っていく。
「それでは次の話題に移ります。次の話題はトーリアがロシア軍に寝返った影響について、これにしましょうか」
「トーリアが寝返った影響ですか? ……それほど大きな影響があるのですか?」
テイルの口から出た次の話題に、思わず疑問の声を上げた一条のことは気にせずに、テイルが話を続ける。
「とりあえず今回、アメリカ軍が手も足も出ずにボッコボコにされたのは間違いなくトーリアのせいだと思うね」
「それは一体なぜですか?」
「トーリアの奴はアメリカにいた頃にはマシンアーマノイドの開発主任をやっていたらしいからね。ということはそれぞれの機体の弱点も良く知っているってことになるでしょ? 多分その情報を全部ロシア軍に話したんじゃないかな、と。そう思います」
テイルの発言を聞いたトラウト達はまたしても顔を見合わせ、今度はこそこそと小声で相談したあとで、トラウトが四人を代表してテイルの発言を聞いて出てきた自身達の疑問をテイルにぶつけた。
そしてテイルもこの疑問に答えていく。
「それは、その話にはなにか根拠となる情報があるのですか?」
「根拠になる情報はありません。ですが先ほどの戦闘を見ていて感じることはありました」
「戦闘を見て感じたこと? それは一体なんですか?」
「アメリカ軍が建造したマシンアーマノイドと、それ以外のマシンアーマノイドへの戦い方の違い、これですね」
「戦い方の違い? 具体的にどのような違いがあったのですか?」
「こっちにあったのがコルセアだけだったので、他の機体がどうかはわかりませんが、ロシア軍はコルセアに対しては徹底的に背後から攻撃しようと行動していました。おそらくコルセアの弱点は背部のなにかなんでしょう」
テイルのこの発言にトラウト達は驚愕の表情を浮かべ、テイル達に断りを入れるとすぐに部下達に戦闘時の映像の調査を命じる。
そうしてテイルに続きを話すように促した。
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