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多元世界戦記 ~テイル奇譚~   作者: 篠原2
第一章 外交とかつての仲間達

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《会議の始まり》

会議室に入ったオリヴィエとテイル達に、オリヴィエ達が来るのを待っていたカナダ軍と日本軍の指揮官達が声を掛ける。


「おお、大佐、戻ってきたか」


「待っていたぞ。あとは君達が来るだけだったからな」


「テイル様達も、さあ、こちらへ」


この言葉に促されオリヴィエが自身の席に向かい、テイル達も指示された席に向かって全員が座ったところで軽い自己紹介が始まった。


「私は今回のカナダ軍の総指揮官を務めております、ライアン・トラウト陸軍准将であります」


「私は日本軍の総指揮官を務めております、一条・慎弥海軍准将であります」


「私は一条准将の補佐をしております、三枝・彰海軍大佐であります」


こうして行われた自己紹介を聞いたテイルが、派遣軍の所属に疑問を感じ、それを口に出して確認していく。


「うん? 海軍? なんで……って、ああ、そういえば日本の陸軍と空軍は……」


「はい、陸軍と空軍は再編成の真っ最中で動かせません。ですから海軍の我々が派遣されたのです」


「そういえばそうでしたね。失礼をいたしました」


口に出して確認していたところで日本軍の状況を思い出していったテイルに、一条准将が自分達海軍が派遣された経緯を説明し、それを受けたテイルが一条准将と三枝大佐に謝罪の言葉を伝える。

そしてこの光景を見ていたトラウト准将が、頃合い良しと見て会議を始めていく。


「テイル様の日本軍への謝罪も終わったところで、そろそろ会議を始めていこうと思うのですが、よろしいですかな?」


「あ、はい、よろしいです。お願いします」


「では始めます。早速ですが、これからどうしましょうか? このままここで増援を待ちながら防衛戦を続けましょうか?」


「増援を待つ、ですか……」


「一条准将は反対ですかな?」


「ロシア軍も今日以上の数で攻め寄せてくるでしょう。増援の到着まで堪えられるかどうか……」


「まあ、確かに。しかしなにもせずに逃げるというのは、この基地を簡単に明け渡すようでどうにも……」


「それなら基地を爆破して撤退しましょうか?」


トラウト准将と一条准将のここまでの話し合いを聞いていたテイルが突如この話し合いに参加する。


「あ、私は基地はこのままにして撤退するのが良いと思います」


テイルのこの発言にトラウト准将と一条准将が同時にテイルに顔を向け、テイルの発言について質問をしていった。


「基地はこのままで撤退する、と?」


「無傷、とは言いませんが、それに近い形で基地を明け渡すのは……」


トラウト准将と一条准将はそう言って表情を歪めていった。

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