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多元世界戦記 ~テイル奇譚~   作者: 篠原2
第一章 外交とかつての仲間達

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《フェイトとギガストーム》

「フェイト? なんでこっちに戻ってきたの? 前にいる敵部隊を蹴散らしてほしいって言ったわよね?」


「それはわかってるわ」


「ならなんでこっちに戻ってきたの?」


テイルは最初と同じ質問をフェイトにぶつけていく。

この質問にフェイトは間を置かずに答える。


「テイルが大丈夫だっていうのはわかっている。わかってはいるけど、やっぱりこの数の敵部隊に攻撃されているテイルを見てしまうとちょっと……ね」


そう話してコクピット越しにテイルを見つめてくるフェイト。

そんなフェイトにテイルが返答を行う。


「心配になっちゃった?」


「そうだね、これだけの攻撃を一人で受けると思うと心配になるわね」


テイルの返答に対する返事を、ロシア軍部隊の攻撃を回避しながら行ったフェイトにテイルは呆れ顔でその感想を口にする。


「それで戻ってきたフェイトが的になるっていうのも違うんじゃないかと、私はおもうんだけどね」


「大丈夫だよ、テイル。テイルがギガストームの発動させたらすぐにみんなのところに戻ってロシア軍と戦うようにするから」


「……はぁ、わかった。それじゃちょっとだけ的役お願い。すぐに終わらせるから」


自身の感想を話した直後のフェイトの感想に溜め息を吐いたテイルは、フェイトに自身がギガストームの準備中の護衛を頼んだ。

フェイトはこれを即座に引き受け、ワイバーンに向かっていくレーザー光や実体弾を防ぐ動きを行い始める。


「了解したよ。それじゃすぐに防衛行動に移るね」


「一度聞いたけど、ギガストームを発動させたらすぐに向こうに行ってよね? 基地の防衛が最優先なんだから」


「うん、大丈夫、ちゃんとわかっているから」


「お願いね? さて、ターゲッティング完了まで十秒ぐらいか。九、八、七……」


ギガストーム発動時に味方部隊への被害を出さないようにするための識別作業を、カウントダウンをしながら行うテイルは、カウントダウンが終わったと同時にフェイトに護衛終了の合図を出す。

これに反応したフェイトが無言で本来の持ち場に戻っていった次の瞬間、フェイトが防衛行動を行っていた位置に巨大竜巻が出現して、テイル達を追ってきていたロシア軍部隊の一部を巻き込みながらロシア軍部隊の行動を阻害していった。


「これは、この竜巻は、確か……ギガストームか!」


「ちぃっ、面倒なものを!」


「とりあえずギガストームを迂回してあいつらを倒しにいくぞ!」


「了解しました!」


発動されたギガストームに舌打ちをしながら、ロシア軍部隊はテイル達に攻撃を行うためにギガストームの外側を通ってテイル達の元に向かっていった。

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