《ジャンの暴走》
突如として怒鳴りながら通信に割り込んできたジャンに、カナダ軍の兵士が文句を言ってくる。
「……突然通信に割り込んできたと思ったらなんだ、その怒鳴り声は? それに加えて名乗ってもいない。貴官は一体どこの所属の何者か? とりあえずはそれを教えてもらいたい!」
このように文句を言って注文をつけてきたカナダ軍兵士であったが、返ってきた答えに下手な事を言うんじゃなかったと後悔した。
「俺はアメリカからフェリアシティ王国に出向中のジャン・F・ケネディ第二皇子である! これでよいか!」
「ジャ、ジャン皇子!? でありますか!? こ、これは知らなかったとはいえ、大変に無礼な言動を……!」
「そんな事はどうでもいい! それよりも戦況だ、先ほどの情報は確かなんだろうな!?」
「は、はい、アメリカ軍マシンアーマノイド隊はロシア軍マシンアーマノイド隊に次々と蹴散らされており、アラスカの失陥はほぼ確実な状況かと……」
「くっ!」
ここまでを聞いたジャンは、テイル達を無視する形でアラスカの基地に向かって突撃していく。
そんなジャンの行動に対してテイルが慌てることなく指示を出す。
「気持ちはわからなくはないけど、ジャンは無茶な突撃をしていったね」
「確かにそうだが落ち着いて話してる場合か?」
「まあ落ち着いて話してる場合じゃないよね。だからアーシア、エスト、すぐにジャンを追い掛けて、ジャンを援護してあげて」
「わかったわ」
「了解した」
「二人とも任せたわよ」
「オッケー、任されたよ!」
「ああ、わかった。では行こうか、アーシア」
「ほーい、了解。それじゃ行ってきまーす」
アーシアとエストがそのように答えてジャンのあとを追っていったところで、テイルはカナダ軍兵士に対する質問を再開させる。
「あの二人が行ったところで話を再開させたいんですけど、退避することができたのはあなた達だけですか?」
「いえ、他の者達もバラバラに逃げてきたので、他の者達も退避できているはずです」
「ふむ、そうか……。それなら後方の姉様達に撤退部隊の支援のために前進してもらう必要はないかな?」
「……そうですね、大丈夫だと思います」
テイルとカナダ軍兵士がこう言い合って双方ともに頷いたところでテイルが次の質問を行った。
「それじゃあ次の質問なんだけど、今回の戦況を聞く限りアメリカ軍が急に弱くなったか、ロシア軍が急に強くなったかのどちらかの可能性しかないと思うんだけど、あなた達はどっちだと思う?」
テイルはこのようにカナダ軍兵士に尋ねていった。
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