コルセアの譲渡について
アーシアが崩れ落ちてから数秒後、マヤから連絡が入ってきた。
「テイル様、今よろしいですか?」
「ええ、大丈夫よ。それでなにかしら?」
「接近艦の友軍確認が終わりました。これから新型機、コルセアの搬入作業を開始する事になります。その連絡をさせていただきました」
「なるほど、わかったわマヤさん。ありがとうね」
「礼には及びませんよテイル様。それでは失礼致します」
マヤはその言葉を最後に通信を終わらせ、マヤからの報告を受けたテイルがアーシアに声を掛け、それにアーシアも応じて会話を始める。
「アーシア、マヤさんから連絡があってアメリカ軍が今からコルセアの搬入作業を始めるらしい。だからあなたもファルンさんを連れて作業現場に行ってくれるかな?」
「……それはつまり搬入されるコルセアを三機私達で受け取ってファルンにエルヴァンディアまで運んでもらえって事?」
「そうだよアーシア、理解が早くて助かる。大丈夫だよね?」
「うん、まあ、私達は大丈夫なんだけど、テイル達は良いの?先に私達が持っていっても?」
「全部で三十機もらえるんだよ?その中から三機持っていかれても影響は少ないよ。だから気にしなくても大丈夫!」
ここまではっきり大丈夫だと言ったテイルの様子を見たアーシアは一度大きく頷いたあと、テイルにこう告げる。
「……わかった、テイルがそこまで言ってくれるなら私達は何も気にせずに持っていかせてもらうよ。それじゃあファルンを呼んだらすぐに搬入作業現場に行くよ。みんな、またあとでね」
ここまで話したアーシアはくるりと方向転換をしてファルンがいるであろう自分達の部屋に向かっていった。
そうしてアーシアがいなくなったブリッジではリューネルンがテイルと会話を始めていく。
「……のうテイルや、あの無能が良いならわらわにもコルセアの魔界へのお持ち帰りを許可してくれぬかのう?」
「さっきも言ったでしょ、リュー。戦力が低下するから駄目だって。まだわかってくれないの?」
「しかし勝ち戦なのじゃろう?ならばわらわがおらぬでも問題がないと思うのじゃが?」
「勝ち戦の勢いに乗ってロシア本土に逆進撃を仕掛ける可能性が無いわけじゃないからね。その時が訪れる可能性があるなら出来る限り最大戦力は確保しておきたい。リューの参戦は必須条件のひとつだよ。だから行っちゃ駄目」
「……ふぬぅ、そうきたか。仕方がないのう、今回はテイルの言葉を聞き入れて状況が落ち着くまでここにいてやろう。泣いて喜ぶが良いぞ、テイルや」
リューネルンはそう言うと機嫌が良さそうに高笑いをしたのであった。
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