リューネルンとアーシア、謀略戦
テイルの説明を聞いたアーシアは上機嫌でテイルに話し掛けていく。
「サンキュー、テイル。あいつの時みたいに少し待ってくれ、とか言われるんじゃないかと思ってビクビクしてたんだよ」
アーシアが上機嫌で話し掛けてきた一方でリューネルンが不機嫌な感情を一切隠さずにテイルに声を掛ける。
「なんでわらわには待てと言ったのにそこの無能の要請にはあっさりと応じた?返答次第ではただではすまさぬぞ、テイルや?」
「さっきも言ったでしょ、精霊界の技術が遅れてるからよ。少しでも早く追いついてもらわない困るわ。それにエルヴァンディアに送るのなら私達の戦力低下にはならないからね」
「戦力低下にならない?なぜじゃ?無能が無能じゃからか?」
「違うわよ。リューには魔界に持って帰ってくれる人がいないでしょ?でもアーシアにはエルヴァンディアに持って帰ってくれる人がいるもの。ねぇアーシア?」
リューネルンとの会話の最中のテイルにいきなり話を振られたアーシアは、
「……は?え?あ、私?」
こう言って辺りを見回したあとでテイルとの会話を再開させた。
「えっと、私の代わりにコルセアをエルヴァンディアに持って帰ってくれる人だよね?」
「そうだよ。いるでしょ、アーシア?」
「……もしかしてファルンの事?」
「そう、ファルンさん。だからアーシアにはすぐに持っていってくれて大丈夫だって言ったんだよ?」
「……ファルンかぁ。まあいいんだけど、ファルンがいない間の私のお世話は誰がやってくれるの?」
「それは自分でなんとかしてくれないかな?」
「ええ?どうしよっかなぁ……」
テイルの発言に渋い表情でなんとか断れないかを考えるアーシアに、ここまでの話を黙って聞いていたリューネルンが声を掛けていった。
「なんじゃ、やはり無能は無能ではないか。自身の身の回りの事が自分一人でなにもできんとは」
このリューネルンの発言を聞いたアーシアは軽くキレた。
そして売り言葉に買い言葉でアーシアは、
「黙れリューネルン!私だって一人で身の回りの事ぐらい簡単にできるわ!」
このように啖呵を切ったのである。
これにリューネルンがニヤッと笑ってテイルに話し掛け、テイルもリューネルンに応じて話し始めた。
「ふむ、一人で身の回りの事ぐらいできるか。ならばファルンとやらにコルセアの輸送を任せても問題はないという事じゃな?テイルや?」
「そうだねぇ、そうなるね」
「と、いうことはじゃ、これで問題は解決した、それで良いのかの、テイルや」
「ええ、これで問題は解決したわ。ありがとうね、リュー」
「むぅ、テイルや、もっと誉めてくれても良いのじゃぞ?」
「はいはい、良くやった良くやった」
テイルはそう言いながらリューネルンの頭を撫でていく。
この光景を見ていたアーシアはリューネルンに謀られたと気付いてその場に崩れ落ちていった。
閲覧、感想、評価ポイント、ブックマーク登録、いいねありがとうございます!




