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多元世界戦記 ~テイル奇譚~   作者: 篠原2
第一章 外交とかつての仲間達

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二つ目の議題

遅くなりましたがようやく書けました…。


テイルはアルシアから提案されたエルヴァンディアの次に同盟を結ぶべき国についてアルシアに尋ねていった。


「アルシア様はどの国がいいと思ってるんですか?ちなみに私としてはドヴォルガンドかヒューマニアン、ビースニマルが良いかなぁって思ってるんですけど…」


アルシアの言葉を聞く前に自身の希望する同盟相手国を複数したテイル。

一方のアルシアはテイルのこの考えとは全く違う考えを話し始めたのである。


「…ふむ、それがテイル陛下の考えですか…。私としましては精霊界の各国と同盟を結ぶより先に人間界の国家と同盟を結ぶべきだと考えています」


「…人間界、ですか?…具体的にどの国家と同盟を結べばいいとかありますか?」


「そうですね、私の考えとしては地球圏のアメリカ合衆帝国と最初に軍事同盟を締結するのが最良だと思っています」


「アメリカですか。ん?でも中華帝国やロシア帝国もアメリカに近い国力や戦力を持ってますよね?何でアメリカなんですか?」


アルシアの考えを聞いたテイルは自身の頭に浮かんだ疑問を率直にアルシアにぶつけてみた。

そのテイルの疑問にアルシアは少しずつ丁寧に説明し始めるのだった。


「まずアメリカという国家が五百年に渡って人間界最強国家として君臨し続けている、これが第一ですね。次にアメリカと同盟を結べば今現在アメリカへの亡命国家になっている日本皇国とも即座に同盟を結べる可能性が極めて高い、これが第二。第三にアメリカは新共産同盟に対抗する新生NATOの盟主です。アメリカと同盟を結ぶ事が出来れば新生NATOの加盟国と同盟を結べない事はあっても友好国から外される事は有り得ません。最後に私達精霊界全体が新生NATOと同盟を締結している、これがあります。以上の理由から私はアメリカ合衆帝国との軍事同盟の締結を推奨します」


「なるほど、そういう理由ですか。…ですけど中国とロシアは駄目なんですか?精霊界と新生NATOとの同盟も破棄すれば良いような気がするんですが…?なんか候補にも上がってないような感じもするんですけど?…何かあるんですか?」


アルシアの説明を聞いたテイルはアルシアがアメリカとの同盟を推す理由は理解出来たのだが中国とロシアとの同盟については何も言及しないアルシアに何か不穏な物を感じたテイルはその事も尋ねてみたのである。

その質問にもアルシアは丁寧に答えていった。


「そうですね、先程も話しましたが私達精霊界全体が新生NATOと同盟を締結しているという事情があります。ですからテイル陛下やフェリアシティ王国が中国やロシア等の新共産同盟と同盟を締結されると私達はテイル陛下やフェリアシティ王国と戦わなくてはならなくなります。これだけはなんとしても避けなければいけない、これが第一の理由になります」


「それはさっき聞いたからわかるんですよねぇ…。まあ理由としてはこれ以上無いものだと思いますけど…」


「そうかもしれません。ですがそれ以上に大きな問題があります」


「…え?…私達がアルシア様達と戦う事になる以上に大きな問題…?そんなのがあるんですか…?」


「ええ。第二の問題、というよりもこれが最大の理由です。新共産同盟加盟国はその全てが魔王軍と同盟を締結しています」


「!!…新共産同盟と魔王軍が、同盟!?」


「ええ。ですから私はテイル陛下やフェリアシティ王国に中国やロシアといった新共産同盟との軍事同盟を推奨しないのです。いえ、しないのではなく、してはいけないと思っています」


「……なるほど、そういう理由ですか。確かにもうすでに魔王軍が同盟を締結しているなら私達が新共産同盟加盟国と同盟を締結するわけにはいきませんね…」


こうしてアルシアが話した説明で新共産同盟加盟国との軍事同盟の締結に反対の理由を理解したテイル。

そしてテイルは同時にとある感想も頭に浮かんできた為、テイルはその感想も素直に口にする事にした。


「それにしても魔王軍は精霊界に全力侵攻しながら人間界にも戦力を送れるとか…相変わらず無茶苦茶な動員能力をしてますねぇ…」


テイルのこの言葉にアルシアも反応して言葉を重ねていった。


「確かにテイル陛下の言われる通りですね。確かこれでまだ総動員令を発していなかったはずです」


「はい!?まだ総動員令出してないんですか!?」


「確かそのはずです。そうでしたよね、ティルダイア団長?」


「はい、間違いありません。魔王軍はまだ総動員令を出しておりません」


突然話を振られる形になったティルダイアだったが慌てる事も言い淀む事も無くアルシアから問い掛けにすらすらと答えを返していった。

さらにティルダイアに続いてフォルトが、


「ただ三年前に一度総動員令を出しましたね。戦争目的ではなく失った戦力の回復目的でしたが。そして戦力の回復が終了した時点で総動員令は解除されましたね」


と、補足説明を行ったのである。

このティルダイアとフォルトの説明を受けたアルシアがテイルに問い掛けた。


「…とのことです。テイル陛下、如何でしょうか?」


「如何でしょうかと言われても……む~……………うん?そういえば総動員令を発令したのは戦力の回復目的って言った?」


「そう言いましたね」


「あ~、それならまた総動員令を発令するかもしれないですね」


「…?それはまた何故ですか?」


「記憶が戻った直後に軽く暴れてフレイルを挑発して物凄い大艦隊を呼び込んだところでほぼほぼ全滅させたからね。戦艦だけで一万九千隻は沈めたはずですから。マシンアーマノイドは数百万機レベルの規模で大破爆散したと思いますよ?」


「ほ、ほう?」


テイルの発言にアルシアは即座に反応出来ずに一言呟くだけになってしまいティルダイアは表情は変えず口には出さなかったが心の中では、


「お前は何を言ってるんだ?」


と、ツッコミを繰り出していた。

こうして動揺を表情に出したアルシアと出さなかったティルダイアの二人と違い、同じように話を聞いていたアーシアとフォルトは全く動揺を見せなかった。

そしてアーシアとフォルトの二人は、


「まあテイル達ならそのくらいは問題無い範囲かな?」


「そうですね、テイル様達ですからね」


と、当たり前の出来事のように話したのである。

このアーシア達の発言にも驚いたアルシアとティルダイアだったがアルシアの方はすぐに、


「ああ、そう言えばアーシアとフォルト副団長は三年前の戦いでテイル陛下達と共に魔王軍と戦っていましたね。テイル陛下達の戦いを間近で見ていた二人ならばテイル陛下の言葉に驚く事は無い、という訳ですね」


と、言ってアーシアとフォルトの言動を理解したのであった。

そしてアルシアの言葉を聞いたティルダイアもボソッと、


「ああ、そう言えばそうだったな…」


と、呟いてフォルトに視線を向けたのだった。

そうしてティルダイアに視線を向けられたフォルトは軽く肩を竦めながらわずかに笑顔を見せてティルダイアに応えるとすぐにティルダイアから視線を外し、そのままテイル達の会談に再度集中し始めたのである。

こうしたフォルトの行動に続いてティルダイアもテイル達の会談に集中し始めたのとほぼ同時にアーシアが発言していった。


「はい、その通りです、母上。それにしても三年前のテイル達は本当に凄かったなぁ…。あと少し、本当にあと少しで魔王軍本星パンデモニウムに総攻撃を仕掛けられたはずだったのに…」


「まあ、勝負は時の運とも言うからね。あの時は運が無かったのよ」


「…む~…。テイルはそう言うけどさあ…」


「それにアルシア様が過去の話はやめようって言ったじゃない?だから過去の話はおしまい。いい?アーシア?」


「……う~…。まあテイルがそう言うなら…」


テイルの言葉に渋々ながらも三年前の戦いの愚痴をこぼすのを止めたアーシア。

その二人のやり取りを見ていたアルシアがタイミングを見計らって声を掛けた。


「それではまた将来の話に戻りましょうか」


「そうですね。同盟相手はアメリカが良いっていう話でしたね」


「ええ。テイル陛下もアメリカとの同盟締結の方向で考えていると判断してよろしいでしょうか?」


「…そうですね。アルシア様が推薦してくるんだから間違いないんでしょうし。ちなみにアーシアは何か意見ある?」


「ん?私?」


「うん」


突然話を振られたアーシアだったが特に慌てる事も無く自分の考えを話していった。


「うーん、まあいいんじゃない?アメリカも、ていうか地球での戦争もなんか膠着状態からうやむやのままに停戦しちゃったから決着つけたいって思ってるなら歓迎してくれるだろうし」


アーシアの言葉を聞いたテイルはふむ、と一言話すと続けて、


「つまり私達はアメリカ軍の、というよりは新生NATO軍の先頭に立って戦う事になりそうだ、という事でしょうか?」


と、アルシアに尋ねたのである。

これにアルシアも、


「そうですね、恐らくはそのようになるでしょうね」


と、言ってテイルの発言に同調したのだった。

そしてテイルとアルシアの言葉を聞いていたアーシアが二人に続くように、


「でもその戦い方ってテイル達が使い潰される事にならない?大丈夫?」


と、テイルとアルシアに尋ねていった。

この質問にアルシアは、


「…そうですね。その戦い方を強制される可能性は極めて高いでしょう」


と、アーシアの不安を煽る言葉を口にしたのである。

その一方でテイルは、


「んー、まあでもそうなったらそうなったで上手く立ち回るだけかな。例えば一般兵は下がらせておいて私達スーパーエース格のみを突入させて戦わせるとか…」


と、極めて楽観的な考えを口にしたのであった。

その発言にアルシアとアーシアはそれぞれに、


「つまり過酷な扱いは受け入れる、と?」


「テイルって相変わらず無茶な事したがるよね…。趣味なの?」


と、テイルの言葉に呆れ半分否定半分の感想を話したのである。

それでもテイルは、


「二人ともそうは言うけど以前に同盟を結んでたエルヴァンディアならともかく新たに同盟を組む相手なら多少不利な条件でも飲むしかないんじゃない?」


と、話してある程度は無茶な条件でも同盟締結の為には受け入れるのは仕方がないのではないかと訴えた。

このテイルの訴えにアルシアは少し考えて、その上で浮かんだ自身の考えをテイルに話したのである。


「それでは私がアメリカ皇帝にフェリアシティ王国との軍事同盟の締結を推薦した上でフェリアシティ王国側に不利な条件を飲ませないように頼んでおきましょう。これならば多少は安全だと思いますよ?」


「それは…。ですがそれは…」


アルシアの考えを聞いたテイルは思わずアルシアの申し出を断ろうと声を上げかけた。

さすがにエルヴァンディア女王に他国との軍事同盟の仲介を依頼するのは躊躇したのが理由だったのだがアルシア本人が、


「テイル陛下の話では魔王軍はしばらく動けないのでしょう?ならば早期に同盟を締結してなるべく早く地球圏の戦争を終わらせて魔王軍との戦いに備えなければいけません。その為ならどのような役目でも引き受けます。ですからテイル陛下はお気になさらずに…」


と、テイルに対して躊躇せずに自分を使ってほしいと話したのである。


「……そうですか。わかりました。それならアルシア様にお願いします。アメリカ皇帝に私達の事をバッチリ売り込んで下さいね?」


アルシアの言葉を聞いたテイルはそう答えてアルシアの申し出を受ける事を了承したのであった。

こうしてテイルに自分の考えを引き受けさせる事に成功したアルシアは同時にテイルが自身の考えを了承する言葉を話す直前にあった僅かな間に、テイルが自身の言葉の裏にあった真意を理解してくれた事を確信、その喜びを含めた笑顔を見せながらテイルの要請に、


「ええ、任せてください。私の弁舌でもってアメリカ皇帝の方からフェリアシティ王国と同盟を結ばせてほしいと言わせて見せましょう」


と、返答してみせたのである。

こうしてアルシアの自信に満ちた返答を聞いたテイルは、


「よろしくお願いします。…こう話がまとまったという事は二つ目の将来の話も終わりという感じですかね?」


と、アルシアに尋ねて第二の議題を締めくくっていいかを確認したのだった。

この言葉にアルシアも、


「そうですね。私のアメリカ皇帝へのフェリアシティ王国の売り込みについては私達が調整すれば良いだけですしね。二つ目の将来の話も終わりで良いでしょう」


と、答えて第二の議題の終了に同調したのであった。

こうして第二の議題も無事に終わらせたテイルとアルシア。

そこでテイルが一息つこうかと一瞬考えたその時、アルシアが、


「それでは将来の話第三を始めましょうか?」


と、すぐに次の案件の話し合いを始めようとしたのである。

アルシアのこの発言に一息つこうとしていたテイルはすぐさま気持ちを入れ直してアルシアに対し、次の議題のテーマは何にするのかを尋ねていった。


「第三の議題ですか。今度は何について話し合うんですか?」


このテイルの質問にアルシアは、


「確かに第三の議題は第三の議題なのですがテイル陛下には確認をお願いするだけで終わるのでそれほど心配しなくても大丈夫です。ですから楽にしていてくれて構いませんよ?」


と、答えて気持ちを入れ直したテイルに対して楽にしていていい、というよりむしろ楽にしていてほしいと話したのである。

この言葉でテイルは入れ直していた気持ちを抜いてアルシアが言ったように楽にする事にしたのだった。

その上でテイルはアルシアに、


「確認?確認って何を確認するんですか?」


と、アルシアが自身に確認したい事を尋ねていったのである。

テイルのこの問いにアルシアが応じて確認作業が始まったのだった。


「簡単な事ですよ。魔王軍艦隊と戦ったんですよね?」


「ええ、そうですけど?」


「かつての王都で、でしたね?」


「そうですね」


「テイル陛下達が脱出する時には魔王軍艦隊は一人も残っていなかった?」


「そのはずです」


そこまで聞き終えたアルシアはテイルに、


「そうですか。わかりました。ありがとうございます」


と、言うとティルダイアとフォルトに顔を向けると次のように指示を出した。


「ティルダイア団長、フォルト副団長、直ちに部隊を編成してテイル陛下達と魔王軍との戦闘跡に向かわせて詳細な調査を行ってください」


この指示にティルダイアとフォルトの二人は共に、


「はっ!」


「はい」


と、短く返事をしたあとすぐに、


「それで詳細な調査とは具体的にどのような調査を行えば良いでしょうか?」


と、尋ねたのである。

これにアルシアは、


「そうですね、王都の復興はすぐに行えるかどうか、すぐに復興出来ないようなら何が問題になっているか、この辺りでお願いします」


と、答えてティルダイアとフォルトに重ねて指示を出したのであった。

こうしてより詳しい指示を受けたティルダイアとフォルトは、


「了解しました。直ちに部隊を編成して現地に向かわせます。それでは失礼致します。フォルト」


「了解してますよ、ティルダイア。それでは私も失礼します」


と、挨拶をするとアルシアの指示を実行する為に二人揃って部屋を出ていったのである。

こうして部屋に残ったテイルとアルシアとアーシア。

このなかで最初に口を開いたのはアルシアであった。


「さて、次の議題に移りましょうか?それとも今日はこの辺りで終わらせて続きは明日にしましょうか?」


そう問い掛けられたテイルが不意に窓に目を向けると窓の外の景色がオレンジ色に包まれていた。

その事に気付いたテイルが、


「ああ、もう夕方になってましたか…。それじゃアルシア様の言う通りに今日はこの辺でお開きにして続きは明日にするとしますか」


と、話して今日の会談を終わらせる方向に持っていったのである。

こうしてテイルも一日目の会談を終わらせる案に同調した事でアルシアが、


「それでは今日の会談はここまでにして続きは明日に致しましょう。ところでテイル陛下、陛下のこれからの予定はどうなっているのでしょうか?差し支えなければお聞かせ願いたいのですが?」


と、テイルに尋ねてきたのであった。

この質問にテイルは、


「…そうですねぇ…。とりあえず宿泊場所を探してそれからご飯食べて明日に備えるって感じでしょうか?」


と、少し考えながらこのように返答したのである。

するとこの返答を聞いたアルシアはある提案をし始めるのだった。


「…ふむ。それならばテイル陛下、滞在中の宿泊場所は城内の一室を提供致しましょう」


「え?いいんですか?」


「食事についても私達との朝昼夕それぞれの食事会、という方式をとろうかと考えているのですが如何でしょうか?」


「…それは…、そこまでしてもらうのは…。いや、まあ、ありがたいのはありがたいんですけど…」


「気にしないでもらって結構ですよ?何故かと言うと…」


アルシアはそこで言葉を区切るとアーシアに目を向けると、


「私の娘はその方が良い、そうしてほしいと言っているようですからね?」


と、アーシアを見ながら発言したのであった。

アルシアの言葉を聞いたテイルがアーシアを見るとアーシアはビター度薄めの苦笑いを浮かべているところだった。

このアーシアの苦笑い顔を見たテイルはアルシアの提案を、


「…わかりました。なんか提案を受けた方が都合が良さそうだから喜んで受ける事にします。ただ私ってめちゃめちゃ大食いな上に味にうるさいですよ?色々と大丈夫ですか?」


と、話して受ける事にしたのである。

そうしてテイルの承諾を受けたアルシアは笑顔で、


「存じております。ですから夕食会については少し時間を頂きたく思っています」


と、話すとアルシア自身が使用している通信端末を取り出すとその通信端末を使って指示を出していった。


「…もしもし、侍従長?今大丈夫でしょうか?」


「ええ、大丈夫です、陛下。どのような御用件でしょうか?」


「本日の夕食なのですがテイル女王陛下との夕食会に変更を願いたいのですが、よろしいでしょうか?」


「それはまた突然ですな。ですがわかりました。厨房の者達には伝えておきます。ただ、今からですと夕食会は三時間後ぐらいになると思います。ご了承いただけますでしょうか?」


「突然言い出したのですから時間については気にしませんよ。それともう一つ、お風呂の準備もお願いしたいのですが、こちらの方はどうでしょうか?」


「そちらでしたら二十分から三十分あれば準備出来ると思います」


「わかりました。それではお風呂の準備が出来ましたらアーシアの端末に連絡して下さいますか?」


「畏まりました。他に何か御座いますでしょうか?」


「他は…そうですね…外務大臣と外務次官に調整して貰いたい案件が出来ましたからそれぞれと打ち合わせを行いたいので至急私の執務室に来るように伝えて貰えますか?」


「了解致しました。以上でよろしいでしょうか?」


「ええ、以上で大丈夫です。それではよろしくお願いします」


「わかりました。それでは通信を終わらせていただきます」


「ええ、わかりました」


侍従長はアルシアの返事を聞き終えた後で通信を終わらせてアルシアの指示を遂行する行動を始めたのであった。

一方で通信を終わらせたアルシアはテイルとアーシアの二人に、


「さあ、というわけでテイル陛下にアーシア、ひとまず二人はアーシアの部屋で少し待ってもらいます。よろしいですか?」


と、問い掛けた。

この問い掛けにテイルとアーシアは互いに顔を見合わせると声を揃えて、


「「よろしいです」」


と、仲良く返事をしたのであった。

その返事を聞いたアルシアは続けて、


「そうして少し待ってもらっていれば侍従長からお風呂の準備が出来たと連絡が来ますから夕食会の準備が出来るまでの間、ゆっくりお風呂に入っていてください」


と、二人に告げたのである。

テイルとアーシアの二人はこの言葉にも、


「「わかりました」」


と、声を揃えて返事をしたのだった。

そしてここまでの話でこれからの予定を伝え終えたアルシアはこの辺りで一日目の会談の締めに入ったのである


「それでは今日の会談はこれで終わりに致しましょう。アーシア、あなたはテイル陛下をあなたの部屋に案内するように。頼みましたよ?」


「わかりました。んじゃテイル、行こ?」


「うん、わかった。それではアルシア様、今日はありがとうございました。夕食会楽しみにしてます。それと明日の会談もよろしくお願いします」


「ええ、任せておいてください。それでは私はこれから外務大臣と外務次官との打ち合わせがあるので執務室に行かせていただきます。アーシア、テイル陛下の案内、任せましたよ?」


「わかってますって。ほら、テイル?」


「わかった、わかった。それではアルシア様、また後で」


「ええ、また後で」


こう言ってアーシアがテイルを自分の部屋に連れ出して行き、続けてアルシアも自身の執務室に向かって行った。

こうしてテイルとアルシアの首脳会談一日目は終わりを告げたのであった。

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