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大森林で出会う  作者: 葉月 優奈
四話:大森林で魔王の卵と出会う
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トリアードというのは、森の精霊。

この森で、絶大な影響力を持つ。

この大森林の全ての人間は、トリアードを崇め奉っていた。

まさに、この大森林の中でトリアードは全知全能の神だ。


手を上げて、枝が迫る。狙うのはボクだ。

「やっぱりね」

走りながら、ボクは枝から枝越しに逃げていく。

軽快に走りながら、右手に杖を持って駆け抜けていく。

それでも、狙いの精度は悪く……攻撃は当たらない。


(ん、攻撃の精度が低いな)

ボクはそう思いながらも、走って距離を取っていた。


状況を理解できていない、シラキ。

その場に立ち尽くすシラキは、ボクを狙うトリアードをぼんやりと見ていた。


「巫女よ、感謝する。精霊トリアードを呼び出してくれたことを」

「どうしてそんなことをするの?」叫ぶシラキ。

「体だよ」精霊女王のトリアードは、男の声で答えた。

宿り木を持ったシラキは、悲しそうな顔をしていた。


「体?」

「俺の名前は、グレゴリアム。神に嫌われし者、疎まれた存在」

「本当に、魔王なのですか?」

「魔王……いい響きだ。

この地を根城にして新たな魔王になるのも、いいかもしれない」

不敵に笑ってみせる、トリアードの姿をしたグレゴリアム。

その邪悪さは、私にも分かる。極めて危険で、邪悪な存在。


「シラキ、そいつから離れろ!」

走り回るボクは、叫んだ。

トリアードのそばにいるシラキは、呆然と見上げていた。

ボクの追撃が弱まる反面、枝の何本かがシラキに向いてきた。


「でも、もう巫女は必要ないからな」

「え?」そのままトリアードが枝を操る。

太い枝を、シラキに向けて突き刺してきた。

ボクは迷うこと無く、シラキの方に駆け込んだ。

キョトンとした顔で、立ち尽くすシラキ。

ボクはそのまま、シラキのそばに走っていた。


(こんなこと、天才魔法使いのすることじゃないよな)

ボクは、走ってそのままシラキに向かって飛びついた。

飛びつかれたシラキは、驚きの顔でボクを見ていた。

ボクはシラキに飛びついて、そのまま太い枝に倒れ込む。

シラキは、驚きの顔でボクの方を見ていた。


「フォーゴさん!」現実を理解したのか、シラキが叫ぶ。

彼女が先ほどまで立っていたあの場所には、砂埃が舞い上がった。

トリアードの枝が、槍のように突き刺さって枝の地面を貫通していた。


「大丈夫か、ううっ……」

ボクは、右足に痛みがあった。

転んだ擦り傷ではない、枝の針の一本が右のすねをしっかり貫通していた。

血が流れ、動くだけで痛い。


「フォーゴさん?」

「平気平気……それよりシラキ……」

左目をつぶり、痛みを必死にこらえるボク。

シラキは心配そうな顔で、ボクを見ていた。


「待ってください、今傷を……」

シラキが倒れる僕から抜けだし、ボクの右足に右手をかざす。

その瞬間、暖かい光がボクの右足に流れ込んできた。


(どういうことだ?)

ボクは疑問が残りながらも、シラキの奇跡の力で傷が治っていくのが見えた。



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