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大森林で出会う  作者: 葉月 優奈
プロローグ
1/54

001

(???‘S EYES)

世界に大きな出来事が起るときの空は、いつも乱れている。

この日の空も、分厚く黒い雲に覆われて雨が降っていた。

雨が降る黒い雲の中を、強い風で駆け抜けるモノがいた。


それは赤い羽の生えた、黒いコートを着ていた。

水色の肌の顔の男は、唇を噛む。

手には杖を持ち、鋭い目つきで背後から迫る光がある。

ものすごい早さで動く光は、黒いコートの男の背後についた。


「お前は消えろ!」渋い男の声が、空の光から聞こえる。

「消されてたまるか!」

黒コートの背後にいた光が、強く光っていた。

大きく光って、そのまま光の大きな球が黒いコートの男に飛んできた。


「ちいっ!」

黒コートの男は、翼を強く羽ばたかせて上空に逃げていく。

光の球が、そのまま飛んでいきやがて地上の大きな森に着弾した。


ドゴーーーンと、大きな爆発音が聞こえてきた。

地上に見える大きな森の一部が、爆発でえぐられた。


「本気で殺す気かよ」飛ながら男は、爆発を見ていた。

黒いコートの男の前には、大きな光が光っていた。

光の中には、何かがいるようだがはっきりとは見えない。


「お前だけは生かしておけぬ、天使……いやもう堕天使か」

「堕天使認定、早すぎだろ」

「堕天使になれば、上が滅ぼさなければならない」

「ならば、俺は生き残るまでだ!」

「生き残らせるわけにはいかぬ。お前は、世界の災いだ」

再び、目の前の光が大きく光った。

光と同時に、大きな光弾が発生していた。

大きな光弾は、みるみる大きくなって黒いコートの前に広がっていく。


「くそっ、本気で殺しに来ている」

「さらばだ、グレゴリアム」

その一言の後、光はさらに大きくなって黒いコートの男(グレゴリアム)の体を飲み込んだ。

グレゴリアムを飲み込んだ光は、大きくなってそのまま爆発をした。


爆発の後、黒煙が立ちこめる。

大きな爆発を見守る、大きな光。

その爆発の中から、黒く焼け焦げたグレゴリアムが落ちていくのが見えた。


「グレゴリアムよ、すまない。

次にもし……生まれ変われるとしたら、正しき天使として育つことを願う」

落ちていくグレゴリアムを見守る光は、どこか悲しげに光っているようにも見えた。



数秒後、森の中。

一人の人間が倒れていた。

僅かに光が差す暗い森の中、倒れる男が一人。

羽根の生えた男は、口惜しそうに空を見上げた。


(終わりか、クソ……この体ももう、持たない……か)

光が差しこまない空を、木々を見上げる。

羽根の男は、見上げることしかできない。

そんな男の体が、ボロボロと砂のように崩れていくのが見えた。


(神め、よくも俺を……

絶対に許さん、絶対に、絶対にだ!)

恨み節を告げる羽根の男に、近づいてくるのは一匹のリス。

茶色の毛並みのリスは、不思議な顔で崩れゆく羽根の男を見守っていた。



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