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花の章  作者: 藤弥伽
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第八話 自業自得な嘘

第八話の投稿です!

第八話 自業自得な嘘


 「もしかして、身罷(みまか)れたのかい。」

 嵩臣の問いに白櫻は黙って俯いた。その肩はかすかに震えていた。表情も髪で隠れて、よく見えない。

 空気が重くなっていくのを感じた嵩臣は、白櫻に声をかけようとした。

 「白櫻のおじい様は生きていますよ。」

 水知と話していた緋梅が言った。

 「・・・え。」

 「ですから、白櫻のおじい様―先代の桜園の花護目(かごめ)は今も生きておりますよ。」

 それを聞いた嵩臣は呆気(あっけ)にとられた。いかにも亡くなったかのように白櫻が話していたように聞こえていた為、無理もない。嵩臣は桃姫の方に目線を送った。

 「ええ。生きていますよ、白櫻のおじい様。」

 桃姫は緋梅の言う通りだと、頷いて言った。

 白櫻はというと、嵩臣が自分の思う通りに(だま)されたため、悲しんでいたのではなく、笑いを(こら)えていて、肩が震えていたのである。そして、笑いを堪えている自分の顔を見られないように俯いたのである。

 それを知った嵩臣は白櫻に詰め寄った。

 「いいかい、白櫻。この世にはついていい嘘とついてはいけない嘘が存在するんだよ。今の君の嘘は後者の方の嘘だよ!」

 「悪かったよ。」

 嵩臣に説教されている白櫻だが、聞き流しているようである。つまり、反省してはいない。

 「あの嘘を白櫻のおじい様が聞いたら、泣くわね。」

 「そうだね。」

 桃姫達は呆れたように見つめている。

 白櫻の祖父は、老齢を理由に隠居したが、現在は花護目として(つちか)った知識を生かしながら、他の桜園の様子を見て回っている。そして、元より博識であり、多くの者から信頼されていた白櫻の祖父は、この日も西にある桜園に呼ばれて行っている。

 「それにね、白櫻。(たち)の悪い嘘をつくのはよくないよ!例えそれが暑苦しい身内であったとしても!」

 「暑苦しいって・・・嵩臣殿、一体何があったのさ。」

 「うるさい!」

 嵩臣の説教はどんどん加速していく。普段と違う嵩臣に説教されている白櫻はもちろんだが、桃姫達もまた驚いている。

 その後も嵩臣の説教は止まらず、

 「だいたい、陰陽師だからって、何でも祓うことができると思ったら、大間違いだっての!」

 「そんなことを俺に言われてもさ。」

 「それに、早く嫁を見つけろだぁ?ふざけんじゃねぇっての!」

 「嵩臣殿、少し落ち着きなよ。」

 いつもの愚痴も始まってしまった。口調も変わった嵩臣は完全に暴走状態である。それを聞いている白櫻は頭が痛くなってくるのを感じた。助けを求めようにも、桃姫達三人は自業自得だと言わんばかりに、白櫻を見ている。

第八話は白櫻の祖父と嵩臣の暴走がメインとなりました。白櫻の祖父の名前は第九話以降に出てきますので、お待ちくださいませ。

嵩臣の暴走ですが、これは稀な姿なので、普段はあそこまで愚痴らないと思っていてください。単に作者が暴走させたかっただけですので(笑)

それでは、花の章ちょっこと説明書

今回のお話でもありました、嵩臣の嫁探しについてです。この物語の舞台は平安時代です。今の時代の成人年齢は、引き下げがあって18歳です。しかし、平安時代では、13~15歳で成人だと言われていたそうです。ちなみに嵩臣の年齢は23歳。つまり、この時代は18前後で、時には13歳で結婚するというのがよくあったそうなので、嵩臣は周りからすると結婚が遅いと思われているのです。この嵩臣の嫁探しの話も、今後のお話で出てきますので、その時までお待ちくださいませ。


花の章第八話、読んでいただきありがとうございます。ご意見・ご感想をお待ちしております。

Twitterもやっておりますので、そちらもよろしくお願いします。

(嵩臣よ、暴走させてすまん。だが、今後も暴走させるかも?)

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