第五話 新たな関係性
第五話 新たな関係性
「でもさ、嵩臣殿と水知殿が一緒に庭園に来るのって初めてじゃない。何かあったの?」
水知は基本的に緋梅と一緒に来ることが多い。嵩臣に関しては一人で来る。それが当たり前だと思っていた白櫻は二人が一緒に来ていることが、不思議で仕方なかった。
「そのことについて話があるんだよ。ね、水知」
「ああ。」
「今、水知殿を呼び捨てで呼んだ?」
「実はね、水知は僕の部下になったんだ。」
「はあ!?」
白櫻と桃姫は声を上げて驚き、緋梅は息を飲んだ。
「これにはちゃんと理由があるんだ。というのも、年明けに帝の命で今年一年を卜占したんだ。そしたら水難の相が出てね。ただでさえ瘴気やらなんやらで政が大変なのに、これ以上何かが起きるの困るってことで、帝に対策を練るよう頼まれたんだ。けど相手は自然だろう?川の位置や水の量、水の流れとか、その時によって変わるから、対策以前の問題が多いんだ。」
近年、帝の身の回りで不吉な事が多発していた。初めは些細な事だった。しかし、今では人命に関わる事まで起き始めている。記憶に新しいので言うと、帝の女御の一人が病に倒れ、療養するために宮中から離れている。その為、桜の木に緑が生い茂る皐月の頃に行われる、皇族や貴族の他にも多くの民が集まる祭りで万が一のことが起こらないようにしたいと帝は嵩臣に話した。
「なるほど。水を操る妖である水知殿なら、川の水の量や流れが人間よりも正確に分かる。だから協力を仰いだってことね。」
「さすが、白櫻。その通りだよ。それに水知の力は君達と同じくらい強い。天候の予測も陰陽師が予測するよりも正確で早い。その分、対策を早く練ることができる。」
占い・天文・時・暦を担う部署である陰陽寮。そこには嵩臣をはじめ、多くの陰陽師達がいる。だが、いくら優秀な陰陽師がいたとしても、限界がある。
「ですが、嵩臣殿の部下になられたということは、参内しないといけない可能性がありますよね。」
桃姫の心配は最もであった。宮中には嵩臣のように陰陽師の力を持っている者がいる。一つ間違えば水知は粛清されてしまいかねない。
「その点は大丈夫だよ。僕個人の部下だから参内しなくていいんだ。帝にも許可もらってるし。」
「そうなんですね。それなら安心です。」
参内しなければ、誤って粛清される可能性は低くなる。それに加え、悪用される可能性も心配する必要がほぼない。桃姫は淡い想いと共に胸をなでおろした。
お久しぶりです!約二ヶ月ぶりの投降となりました!すみません・・・。
今回の第五話では嵩臣と水知が上司と部下という関係になりました。そして前回初セリフがあった水知ですが今回はありません。(緋梅もですが(笑))
三樹の美花の三人は人間に対しての警戒心は他の妖よりも薄いと思ってもらえたらと幸いです。
それでは第六話もよろしくお願いします!