第二十四話 小さき贈り物
第二十四話 小さき贈り物
「良かったわね、桃姫。花便りを渡すことができて。ーよく役目を果たしました。これからも精進するのですよ。」
「…はい。」
先代の桃園の花護目は、桃姫の頭を撫でながら、その頑張りを褒めた。桃姫はこそばゆくも感じつつも、優しく頭を撫でてくれる温かい手を、受け入れた。
二人の様子を見ていた白櫻は、視界の隅に、見慣れない包みがあるのを見た。
「桃姫、この包みは何か知っているか。」
桃姫は白櫻の問いを聞き、持ってきた包みを手に取った。
「これは緋梅に渡す贈り物よ。前に緋梅から、この領巾を貰ったお礼でもあるの。」
桃姫はそう言って、包みを優しく抱えた。
「何を渡すんだ?」
「それは秘密よ。緋梅に渡すまでね。」
桃姫は微笑んで、包みを白櫻の目から隠すように持った。
「わたしも見せてもらってないのよ。諦めなさいな。」
先代の花護目も衵扇で口元を隠しながら、笑って話した。
それから三人は緋梅達を待つ間、互いの近況であったりなど、他愛もない話で盛り上がった。しばらくして、緋梅達も戻ってきて、五人でお茶を飲みながら、他愛もない話で盛り上がった。
「実はね、今日は緋梅にも渡したい物があるの。―受け取ってくれるかしら?」
そう言って、桃姫は持ってきた包みを緋梅に渡した。
「ありがとう。開けてもいい?」
「もちろん。」
緋梅は受け取り、そっと包みの結びを解いた。
すると、中には小さな箱が入っており、箱のふたを開けると、桃姫からの贈り物が姿を現した。
「これ…髪飾り?」
桃姫が緋梅に贈った物は髪飾りであった。
緋梅は髪飾りを壊れないように優しく手にとった。
手の平に収まるくらいの大きさの髪飾りには、赤や桃色であしらわれた花が数個ついている。飾りの下の部分には、赤色の組紐で作られた飾りがついていた。
「そうなの。緋梅の髪がすごく綺麗だから、髪飾りが似合うと思って。」
「すごく綺麗。ありがとう、桃姫。」
緋梅は微笑んだ。
「早速、髪に挿してみたらどうだい?」
白櫻の言葉に、緋梅は頷き、髪飾りを挿してみようとしたがなかなか上手くいかなかった。
見かねた先代の桃園の花護目が櫛を懐から取り出し、優しく緋梅の髪をとかし、左耳の少し斜め後ろに髪飾りを挿した。
「とても似合っているわよ、緋梅。」
先代の桃園の花護目はそう言いながら、優しく微笑み、緋梅の頭を撫でた。
花の章第二十四話を読んでくださり、ありがとうございます。
前回の投稿から約3年ぶりの投稿となりました…。
投稿していなかった期間、体調を崩したり、PCが壊れたりなどなど…色々なことがありました…。
新しいPCを入手したので、ゆっくりと、また小説家になろう様にて投稿をしてまいります。
それでは、約3年ぶりの花の章ちょっこと説明書
第二十三話の後書きで白櫻の体力についてお話しましたので、今回は緋梅の体力についてです。
白櫻や桃姫より体力はありませんが、アスリート並みには体力はあると思っていただけたらと思います。
ただ、緋梅の場合は、体力よりも忍耐力や精神力のほうが優れています。
というのも、瘴気が梅園に入ってこないように一年中結界を張っていたり、大樹が花を咲かせられるように諦めず、側で寄り添い続けました。そのおかげで、花便りを届けられるまで回復しました。
花の章第二十四話「小さき贈り物」を読んでくださり、ありがとうございます。
ご意見・ご感想もお待ちしております。
藤弥伽




