第一話 舞う花びら、届かぬ便り
はじめまして!藤弥伽と申します。
初投稿作品です。文の構成など、おかしいところがあると思いますが、ご了承ください!
第一話 舞う花びら、届かぬ便り
「あの花びらは、あの子のじゃないか・・・。」
風が吹き、花びらが彼方に飛んでいく。その様子を広い庭園に建てられた小さな屋敷の縁側で酒をあおりながら白櫻は見つめていた。そして、庭園で一心に舞を踊っている女性に目線を移した。
「毎日舞っていて、疲れないの?桃姫。」
「貴方こそ、毎日お酒を飲んでいるじゃない。白櫻。飽きないわけ。」
桃姫と呼ばれた女性は、舞うのをやめ、扇を閉じながら答えた。天女のような着物を身にまとい、薄紅梅色の領巾をなびかせながら、白櫻の方を振り向いた。誰もが羨むほどの美人であるが、桃姫は人ではない。そして白櫻も。人に似た成りをしている妖である。
「酒は百薬の長とも言うでしょ。俺のとってはそれなんだよ。」
「いずれ、お酒の飲み過ぎでぽっくり逝きそうね。」
「縁起でもないこと言わないでよ。―桃姫も飲む?」
「遠慮するわ。お酒を飲んだら、酔っ払ってちゃんと舞えないもの。それにわたしは、白櫻が勧めてくるお酒は絶対に飲まないって決めてるの。前に飲んだ時大変な目に遭ったもの。おかげで『三樹の美花』は大酒飲みだって勘違いされたでしょ。」
桃姫は溜め息をつき、断った。なにを隠そう白櫻の飲む酒は一口飲んだだけで、酔いが回るほど強いのだ。それを知らずに白櫻に勧められた酒を飲んだ桃姫は、瞬く間もなく酔っ払い、その日の記憶が飛んでしまったのである。それをきっかけに、三樹の美花は大酒飲みという噂が流れたのである。
「『三樹の美花』、ねぇ。-あっ、そういえば、緋梅からの花便り、来た?」
「いいえ、来ていないわ。それどころか緋梅にすら会ってない。貴方は?」
「俺もだね。」
緋梅とは、白櫻達と同じ人に似た成りをしている妖である。
薄紅梅色の領巾を桃姫は優しく撫でた。これは以前、緋梅が花便りと一緒に贈ったものである。そのお礼として、桃姫は桃と梅の花をあしらった手作りの髪飾りを贈った。
「もしかしたら、今年は咲くことができていないのかもね。」
白櫻の言葉を聞き、桃姫は薄紅梅色の領巾を握りしめた。緋梅は妖でありながら瘴気にとても弱い。僅かな瘴気にも気がつくほど敏感で、ここ数年は梅の花が咲く時期でも梅園から滅多に出ることはなくなった。
「ここ数年、瘴気が濃くなっているからね。無理もないかな。各地でも影響が出ているってよく聞くしね。」
「・・・さっき、花びらが風に乗って空に舞い上がったけど、あの子のじゃないのわね。」
「そうだね。緋梅の花はもっと――――綺麗な白い、無垢な花びらだよ。」
白櫻は、再び空を見上げた。しかし、求めていた白い梅の花びらは舞っていなかった。
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