第七十四話……エビの棲む泥
今日の天気は曇り。
良くも悪くもないけど、きっとこれが平和で普通。
――
とある昼時。
老騎士はブタを訪ねてきた。
「殿、モロゾフ将軍の件はいかになりましたかな?」
老騎士は女官が勧めるエビフライを制し、ブタに尋ねる。
「追い払われたブヒ」
「追い払われたポコ」
さきほど、ウサにエビフライとは違うメニューを提案し、タンコブをつくったポコもそう答えた。
「仕方ありませんな」
老騎士はため息をつきつぶやく。
「あきらめるブヒ?」
「ポコ?」
「あいや、あのような人物はなかなかおられませんゆえ、夜討ち朝駆けにて口説いてくだされ」
「「え~」」
「これぞ、君主のお仕事ですぞ!!」
老騎士は笑ってそう答えると、どこやらへ出かけて行った。
それからというもの、ブタとポコは朝昼晩モロゾフの家を訪ねる。
「今日もお越しですか?」
モロゾフの家の庭を手入れする男がブタ達に声をかけた。
「ダースのおっちゃんこんにちは~♪」
モロゾフの家人と思われる男ダースとは、ブタ達は顔見知りとなっていた。
「昨日のエビフライはどうだったブヒ?」
「ええ、とってもおいしゅうございましたよ」
「ただ」
「ブヒ?」
「ウチの旦那様は、食べ物の好き嫌いはなく、すべてを美味しく頂かれるのです」
「とくに好きそうなものはないかポコ?」
「なさそうですね」
「モロゾフさんの好きなものはなにポコ?」
「そうですね、旦那様の好きなものと言えば、丈夫な馬に、丈夫な剣といったところでしょうか?」
「奇麗な宝剣はどうブヒ?」
「多分、嫌がられるとおもいますよ」
ちなみにブタ領は馬の産地ではない。
モンスターがあちらこちらの森に沢山いる地勢である。馬はやはり少なかったと言える。
「良い馬は難しいブヒね~」
ブタは考え込むが、
「あれがあるポコ」
ポコが思い出したのは、リーリヤとブタの結婚式のお祝いにアルサン侯爵がくれた名馬のことだった。
しかし、お馬大好きヴェロエマにあげてしまっていた。
しかたなくヴェロヴェマに頼んでみようと思ったブタでした。
――
「この腐れ外道が!!」
ブタはモロゾフに殴られ、地面の土を舐める羽目になった。
ブタから貰った素晴らしい馬にとても喜んだモロゾフだったが、家臣から返却させた馬だと聞き態度を一変させた。
ぺっぺとブタが土を口から吐くと、
「貴様の領土の大切な土だろうが!」
とさらに、ブタは横腹を蹴られ軽く内容物を吐き、むせる。
「ブヒィィィ……」
「その根性叩き直してくれる!!」
モロゾフは顔を真っ赤にして激高していた。
――
「エビさんエビさん~♪」
「ウサ~♪」
最近、ウサはリーリヤにせがまれエビの養殖池に度々来ていた。
冷たい水でバシャバシャとはしゃぐ。
エビは泳ぐというよりは、底の泥に棲む。
養殖池はとても浅くしてあるので危険はないが、とにかく汚れる。
「奥方様!!」
女官たちの苦労は絶えなかった。
水温が温かくなっていき、海の生き物たちの恵みも、沢山の生き物たちへ運ばれる。
海藻や貝類も貴重な資源だ。
金銀財宝や魔法金属の類は、そもそも庶民にとっての資源ではなかったのかもしれない。
みなさまの温かい【ご感想】が当ブタ作の栄養源になります (`・ω・´)ゞ ご感想感謝~♪
【ブタ的なレトロ戦争ゲーム用語集】……主力戦車
陸の王者と言われる。SLGゲーム中では戦車戦はあまり発生せず、むしろ弱い者いじめに活躍する。生産コストが高く仕方がない面も多い。
現実世界では航空技術が発達し不要論も現れたが、テロとの地上戦で一躍脚光を浴びる。次世代戦闘機は無人化が進むが主力戦車は有人をもとに設計されることが多い。
漫画とかで戦車に乗ったヤツがでてきたら、概ね悪役である ( ˘ω˘)
当ブタコメディーは【にゃっぽり~と航空】様と【(非公式)アスキーアート同好会】様の提供でお送りしました。