第六十二話……【モロゾフ将軍記④】 ──理不尽な開戦──
カップ麺を買いに行ったところ。有名メーカーのモノはありませんでした。
あればなんでもいいとは思うけれども、品ぞろえの変化にすこし驚きました。
戦場の夜は寒い。
自分の相方は寝筵だけ。夜の地面は想像を絶するほどに硬く冷たい。
──
王国参謀本部は、トリグラフ帝国で食料に困っていそうな国境周辺貴族に目を付けた。
そして彼らに『お見舞い』と称して食料を贈った。そして、暗に王国につくよう唆した。圧力に驚いた帝国貴族たちはその対応を帝都に求めた。
帝国の首脳部は、ハリコフ王国の真意を確かめるために非公式に特使を送った。
王国側の回答としては、食料の御礼として『村を一つほしい』とのことだった。
帝国側は、膨大な国力差があるために王国へ逆らえず、適当な理由をつけて村を一つ引き渡した。
が、その後も同じようなことが続き、使者を送ると。
『町が欲しい』だの『やっぱり都市が欲しい』だの『鉱山の権益が欲しい』だの好き勝手に言われる始末だった。
帝国は苦慮した結果、王国の理不尽な要求を跳ねのけることに決めた。要求に対し黙殺したのである。
これに対して王国側は、『助けた恩を忘れるような隣人は要らない。以後一切の食料及び資源の輸出を禁ずる。又は、その品を帝国に運ぶものを捕縛する』との旨を帝国に正式通達した。
これには帝国側は大いに青ざめた。さすがにそれをされると国家の存亡にかかわると思い、次々に妥協案を提示した。
が、そのいずれもが黙殺された。
その後、ハリコフ王国は一方的に国境の関所の管理を強化した。『麦の一粒たりとも見逃さぬ!』と張り紙まであった。
さらには、王国は大々的に大軍を準備し始めた。相手は誰かなど子供にもわかった。
こうなると、帝国側も一戦やむなしとの風潮になる。
しかしながら、先制攻撃は外交上まずくなるため、策をようやく模索し始めた。
このようなときに、国境近くの帝国貴族領で婦女暴行を働く盗賊団が現れた。その領主は部下を引き連れて追いかけたところ、賊は王国領内に逃亡。帝国貴族は待ち受けていた王国国境警備隊と激突し捕縛されてしまった。
王都の地下牢で厳しく尋問されたところ、この帝国貴族は『帝国首脳部に命令されて王国領内に侵攻した』と自白した。
このことは王都ルドミラで大々的に宣伝された。まさしく、
──『帝国は王国へ戦争を仕掛けた』のであった。
──
「殿! ここに陣地をお願い致す!」
「ブヒ?」
コソコソと釣りに行こうとしたブタは、鉄仮面を装備したヴェロヴェマに捕まる。
陣地構築の依頼である。
いくら自分たちに不利になろうとも、ブタ達に抵抗する大森林の在地領主たちも沢山いたのだった。
しかし彼らを野戦、攻城戦で次々に破る名人がいた。ヴェロヴェマである。彼は低身長の容貌醜い男だった。
彼は馬上にて武器ではなく、よくペンと羊皮紙を携えていた。
大森林で味方になったモンスター達は、ヴェロヴェマの先手衆として配備された。
ヴェロヴェマは前線で働く者たちを良く観察して、その戦功を馬上にて次々に書き記していった。
『今回のボスは紙に成績を書いて渡してくれる。働き甲斐があるぞ!』というのが概ねの意見だった。
その結果、モチベーションが上がった在地領主たちは次々に敵を撃破。
猛将として知られるザムエルのように『将たるは兵の前に立つ!』と公言する者もいれば、ヴェロヴェマのように兵の後ろから戦目付として督戦する者もいた。
そのような感じで戦役は佳境に入っていったが、ブタの前に人が連れてこられた。
大森林の中、モンスターに捕まっていたそれは茶色い髪の茶色い眼をした可愛らしい女の子だった。
──トクン。
そう心臓の音がしたのを、ブタは生れて初めて感じ取った。
ブタにも遅まきながら、春がやって来たのかもしれなかった。
みなさまの【ご感想】が当ブタ作の栄養源になります (`・ω・´)ゞ ご感想感謝~♪
【ブタ的なレトロ格闘ゲーム用語集】……キャンセル
当時は小足払い連打も立派な連続技だったが、恐ろしく難易度の高い連続技が登場する。
キャンセル技である。
特定の技の当たり判定が発生した瞬時に必殺技のコマンドが成立すると、その後の通常技が消えいきなり必殺技が発生する事象。
今では常識的な風潮だが、当時は出来た者は少なかった気がする。
また、CPUが行うイカサマ技とは別の存在であるww
当ブタコメディーは【にゃっぽり~と航空】様と【(非公式)アスキーアート同好会】様の提供でお送りしました。