第五十六話……婚約
いつもお読みいただき有難うございます。
偉大なるコメディアンの冥福をお祈りいたします。
──タリル暦233年3月。
降りしきる吹雪の中。
──
Σ( ̄□ ̄|||) ぇ? 婚約!? なにそれ!?
聞いていない話に困惑するブタに……。
Σ( ̄皿 ̄|||) ンホ? 館を改装!?
聞いたこともない宗教の儀式のために、聞いていない邪教の館ニャッポ村別館の改修工事に驚くンホール司教。
アーベルム側の顔を立てるために、内密に行う婚約の式典はアーベルム方式となっていた。
アーベルム側の文官が次々に指示を出し、邪教の館ニャッポ村別館はどんどん姿を変えていった。
Σ( ̄□ ̄|||) う……うちの教会がンホ~。
アーベルム方式の婚約式は俗にいう人前式。施設を貸し出すンホール司教の出番はなく、一介の参加者となっていた……(´・ω・`)
──パンパカパーン!!
ンホール教騎士団のお爺ちゃん達が、にわかの特訓で身に着けたアーベルム管楽器を必死の形相で吹き鳴らす。
「「「ぶひぶひぶひ」」」
一般参加者は無く、秘密裏に行われた人前婚約式の参加者の多くがオーク族という、むしろ豚前式の様相を呈していた。
主賓の御登場──
「わぁ~ブタさん達がいっぱい~♪」
メンデム将軍に抱きかかえられた姫君は、上質な絹のドレスを纏い皆の前に現れ感嘆の声をあげた。
──パチパチパチ。
メンデム将軍は深紅の絨毯をゆっくりとゆっくりと進み、そして立ち止まる。
アイスマン辺境蛮族子爵の前に降ろされた姫君は恭しく一礼した後。
「アーベルム議会議長ネーメロの娘、リーリヤです。ブタさん、ブタさん、私のお婿さんはどこ?」
と、ブタに尋ねた。
「ブヒ!?」
Σ( ̄□ ̄|||) やべぇ! おうち帰りたい。
この時、少なくともこの場の半数はそう思ったに違いなかった。
(=ω=`) 半ば放心状態の将軍と老騎士。
笑いをかみ殺すのに精いっぱいのアガートラムとンホール司教。
……が、救いの手が差し伸べられる。
「野郎ども! 飲め! そして歌え! カッカッカ」
アガートラムの副長ザムエルと、ヴェロヴェマが大声で叫びながら大量の料理と酒を運んできた。
「「「ォォォオオオ!!!」」
皆の目の色が変わる。
所詮ブタ領は、オーク達と流れ者の人間たちで構成されていた。見識高い良家の者などいない。皆それぞれに熊のドリス夫妻が作った料理を競うように頬張り、そして大量の葡萄酒を胃に流し込んだ。
式典は趣旨を忘れられ、食欲の神が司る豚達の大宴会に変わっていった。
──その晩。
「姫様! なんてことをおっしゃったのです!」
メンデム将軍は自らの姪、リーリヤを厳しく問い詰めた。
「だって、わたくしは、あんなみすぼらしいブタと結婚するくらいなら死んだほうがマシですわ!」
リーリヤはそのあどけない瞳で必死に伯父をにらみ返す。
「姫様! アーベルムに帰ったら、いつまた毒を盛られるかわからないのですよ?」
メンデム将軍はため息混じりに幼い姪を諭す。
「だって、だって、わたくしのお婿さんは、白馬に乗った優しい王子様が良いの。ブタは嫌、人間の王子様がいい……、えっぐ、えっぐ、え~ん」
「ひっ、姫様!!誰が聴いておるやもわかりませんのに!」
メンデム将軍は天を仰ぎ狼狽する。
「お……、伯父様の意地悪。伯父様なんて大嫌い!!」
メンデム将軍は、正直な4歳の姪に泣き崩れられ、途方に暮れていた。彼らの頬をただ蝋燭の炎だけが薄明るく照らしていた。
まだ外は吹雪いており、3月といえどもブタ領の住人達にはまだまだつらい季節だった。
みなさまの【ご感想】が当ブタ作の栄養源になります (`・ω・´)ゞ 感謝~♪
【ブタ的五輪用語集(サッカー編)】…スローイン
タッチラインを割ったボールをフィールドプレーヤーが唯一手にて行うプレー。
大きく投げ入れるロングスローなどもある。
オフサイドがなく、一気に切りこめるチャンスである場合も多い。
ブタ的レベルにおいては、早く投げ入れたいのに味方が来ず敵しかいない場合多し(大笑)
どないせえちゅうねん Σ(・ω・ノ)ノ!
当ブタコメディーは【にゃっぽり~と航空】様と【(非公式)アスキーアート同好会】様の提供でお送りしました。