第四十七話……城将
誤字脱字報告有難うございます。
今日の空は晴れ。
久々の晴れだけど、もう……おうち帰りたい。
──ライン・シュコー騎士爵領土【シュコー領】
今回のアーベルム港湾都市との戦いの最前線である。
ブタ領南西端に位置し、今年の初めに開かれた新しい騎士爵領である。
騎士爵とはいえハリコフ王国の直臣ではなく、アイスマン蛮族辺境子爵家の騎士爵であり、王国から見たそれは陪臣である。
寄り親のブタより『南部の敵地切り取り自由』とされて恵まれているようであるが、その実、領地持ちになったことで俸給返納。よって、無資本からの旅立ちである。
シュコー家の者はモンスター達を剣で追い払い、荒れ地を切り開き、伐採した木材で掘っ立て小屋を建てた。
寄り親のブタからの要請があれば、いつでも兵を連れ馳せ参じなくてはいけない。よってシュコー家は商人からお金を借りて色々とそろえることとなった。
が、実績のない田舎者に、王都の商人はどのような条件ならお金を貸すのだろうか。
確かに商人からすれば新興貴族が興れば、その利益と権益の成長性は絶大である。が、今は夜盗に毛の生えた様な存在であり、リスクを考えた貸出利息は天文学的なものだったかもしれない。
きっと、家を興すとはそういうことだった。
──【港湾都市アーベルム】
ハリコフ王国南東部に位置するとみられる実質上の独立国家。
陸路にて辿りついたものは少なく、ブタ領南部のモンスターの楽園であるアガートラムの森を含めた大森林地帯の遥か南方とみられる。
昔より、大型船での交易は盛んで港は栄えていた。
ハリコフ王国はその交易圏を手中に収めようと、近年に二度も海路より征伐軍を送るが生還率1割を割り込む前代未聞の敗北を喫している。
──
「ブルー君元気出してポコ!」
「きっとおうち帰れるポコよ!」
よしよしヾ(・ω・`)
アーベルムを迎え撃つべく南方戦線へ向かうブタ勢9000。
牛の【月影】が曳く荷台にて、ブタはちっちゃいタヌキに慰められていた。
「ビービー泣くなウサ!」
( ‘д‘⊂彡☆))Д´) ぱ~ん ☆彡
「痛いぶひぃ~」
イラついたウサにブタは怒られていた。
「ご注進!ご注進!」
大声をあげる伝令兵が、馬より転げ落ちる。
「なんだ!?」
老騎士が馬上より尋ねる。
「我が方の最前線、【隠し砦バートルム】陥落!!」
「ご苦労、休め!」
老騎士は、行軍中には貴重な水をすぐにも伝令兵に分けるよう言い、更にはハリコフ銀貨の入った袋を伝令兵に投げ渡した。
老騎士は馬上より、上半身だけブタに振り返り。
「殿、これは些かおかしいですな。隠し砦の位置がこうも早く露呈するとは……、やはりこれは我が方に内通者がおりますぞ!!」
「ブヒ!?」
正直ブタにはそのようなことなどどうでもよかった。
早くおうちに帰りたい一心だった。
……その場から離れない伝令兵に老騎士はイラつく。
「なんだ? まだ何かあるのか!?」
「そ、それが……」
「早くいわんか! 時間がもったいないのだぞ!!」
「バ……バートルム砦お目付役、シュリッツ・ヘーデルホッヘ様、壮絶なるご最後……」
老騎士の目元より、一条の光が静かに流れ落ちる。
──シュリッツは年の離れた老騎士の妹婿だった。享年39。
──ブタは悟る。
今までのぼらなくてもいい階段を、わざわざのぼり続けていたことを──
みなさまの【ご感想】が当ブタ作の栄養源になります (`・ω・´)ゞ 感謝~♪
【ブタ的五輪用語集(サッカー編)】…クリア
よく「大きくクリアしました!」と報じられる。守備的危機を出するキックやヘディングを指す。
状況により、距離の長短や方向も変える。
大きく前方の方が良い場合もあるし、タッチラインを確実に割る方が良い場合もある。非常に危険な場合は味方の方向へも叩き出す場合もある。
ブタ的な草サッカーレベルだと、人によってキック力が違う。
確実にラインを割っていただく方がやりやすく、そしてみんなが分かり易い方針だ。
当ブタコメディーは【にゃっぽり~と航空】様と【(非公式)アスキーアート同好会】様の提供でお送りしました。




