第三十三話…処女
誤字脱字ご報告ありがとうございます。
今日の空は曇天。洗濯物が乾くかな?
──ズシャァアアア!!
いきおいよく、船が船台を滑り出る。
──タリル暦232年12月進水式。同・ンホール港開港。
歪ながらも整備された岸壁。しっかりと油を抜いた木の鮮やかさ。無骨ながらに風を優しく包む帆。空を遊ぶはカモメさん達。
すべてが、拙者たちの新しい航海を歓迎していたはずでござる。
ヾ(゜∀゜)人(゜∀゜)人(゜∀゜)ノ ポコウサぶひぃ~♪
みんなで考えた船の名前はバラバラだったので、結局近隣の大きなお山の名前である【エウロパ】って名前にしたでござる。
蒸気タービンの本体や、船の骨格はすでに出来上がっていたので、案外早い就航になったでござる。
「流石はアイスマン領始まって以来の大型船ですな!」
そう言いながら、クローディス商館のお抱え技師の【モイスチャー博士】は笑う……( ̄― ̄)ニヤリ
(・ω・`;)……いやな予感でござるな。
(`・ω・)っ【お高い請求書】どぞ!
Σ( ̄□ ̄|||) きいとらんでござるよ!
……結局船代は、ローンにしてもらったでござる。一部は銅や木材などの物納にさせていただいたでござる。お……お財布がピンチでござる。
──
「出港!錨を上げろ!」
帆を張り、風を受け、エウロパ号は動き始めた。エウロパ号の処女航海である。
「!?」
豪奢に着飾り、ド派手な帽子をかぶった猫が現れる。
「わらわのふねにようこそにゃ!」
Σ( ̄□ ̄|||) ぇ? ローンの払いは拙者なのでござるが……。
「遠慮せずにくつろぐがいいにゃ!」
どうやら、船長は虎族の【コダイ・リュー】の様でござるな。
「殿! リュー殿はああみえて【港湾自治都市アーベルム】で、新たに【航海術】を学んできたようですぞ!」
ブドウ酒をあおりながら家宰のヘーデルホッヘ爺さんが教えてくれた。
(……頼むからウサに飲ませないでくださいでござるよ。)
ちらちらと目をやると、
(´・ω・)(・ω・`)~♪ ウサとポコは2匹して仲良く釣りをしていたでござった。……ホッ。
──
ンホール港から、ブタ領から南西へ海沿いに3日の距離に見えるのが、港湾自治都市アーベルム。ハリコフ王国から遠く、また、力もあったので王国の力は及ばない町だった。
船はブタ領から、アーベルムとは反対方向に走る。
「取り舵15度ヨーソロ!」
小さな虎族【コダイ・リュー】が自分に自分で指示を出し、舵を切る。
ずっしりと右側が重くなる。まだ出番がない蒸気タービンにも【モイスチャー博士】によって火が入れられた。
グオングオン! ボフゥゥゥ……!
船は鈍い咆哮を上げながら真っ黒な黒煙をもうもうと吐き出す。
現代人からみたら普通であったが、知らないブタ領の者たちは大いに驚いた。
「黒い煙をはくドラゴンぽこ?」
「きっと黒いオナラうさ!臭いし!」
……なんてみんなで海の心地よい潮風を浴びながら。実は必死に釣りをしていた。
「あ~(釣りの)仕掛けが絡まったでござる!?」
「あっははっは。拙者の仕掛けはどうも殿の仕掛けと相思相愛でござるな♡」
酒に酔った老騎士は、今日が初めての釣りだった。
Σ( ̄□ ̄|||) この酔っぱらい爺め! 一回海に叩き落とすでござる!
──
ブタが今日二匹目のマグロを釣ったとき。
ズバァォォォ……。
大きく奇妙な物体が遠くではねた。
「船長! モロドフ級海獣です! ……ぉぉおきぃぃぃ!」
遠眼鏡をした見張り員オークが感嘆の声を響かせる。
ド派手な猫船長【コダイ・リュー】が吠える!
「衝角戦用意にゃ!!」
みなさまの【ご感想】が当ブタ作の栄養源になります (`・ω・´)ゞ 感謝~♪
【ブタ的五輪用語集(サッカー編)】……シュミレーション
オフサイドと並び、わかりにくい反則である。攻撃側の選手がありもしないファールを演出し、ペナルティーキックなどを故意に得ようとする行為。バレるとイエローカードが提示される。
最近はVARの導入もあるので、少なくなった反則ともいえる。が、成功した時の威力は絶大。
ブタ的レベル、草サッカーでそんなことをする奴は御帰り願います(苦笑)
当ブタコメディーは【にゃっぽり~と航空】様と【(非公式)アスキーアート同好会】様の提供でお送りしました。