俺と自宅
――バチン!
俺の心に電撃が走った。と言うか、本当に辺りは真っ白になって雷が落ちたように、体中を電気が駆け巡っていた。
「私、雷久保 帯斗と言います」
――と言っても、もう卒倒して、帯電して、感電死してしまってらっしゃると思いますが。
「勝手にひとんちに、雷落とすなってーの」
やれやれだぜ、と泰然自若たるお兄様ぶりを見せつけようとする俺。最近の主人公はこうでなくっちゃな!
「まあ、想定内ですが」
取り乱す様子もなく、闖入者は毅然としている。
「雷久保太郎だっけ? スマホ太郎の新しい親戚だっけ?」
「いえ、スマホ太郎、デスマ次郎、百錬三郎と続く系譜には入っていません」
なかなか知識が豊富じゃねーか。俺と良い酒が飲めそうだな……
「お兄……イキってるけどさぁ。うちの《超絶魔術師機構》がなかったらさ黒焦げになってたんだけど」
妹が横から水を差してくる。まあ、確かに俺の《獄炎の射手》じゃどうしようもなかったけどさ。
「異能力者管理委員会から、あなた方二人の抹殺命令が出ましたので。」
――無限の旅路。轟く怨嗟の雷鳴。迅雷であり春雷である、電光石火……
「ちょ、待った、待った!」
何事もなかったかのような顔で、詠唱し始める雷久保を制止する俺。こいつに心はないのかよ。
「心はあります。慈悲だって、猶予だって、あります」
そう言って雷久保はヒラリと一枚の紙を胸元のポケットから取り出して言った。
「無銭飲食した人がそこで食べた分だけ働かされるってやつ、あるじゃないですか。そう言うことです」
一枚の紙きれには、俺たちの罪を無かったことにするには、他の罪を探してこいと言う旨の内容が書かれていた。
「はぁ~。お兄がいらんことするから、うちまでとばっちりくらってるじゃーん」
本気で憂鬱そうな表情を浮かべる妹、大きなため息をつきながら続ける。
「まあ……ここでこの雷四郎さんをやっつけちゃえば……いいってことだよね……」
FOO! 思考が戦闘狂のソレだよそれ。我ながらカッコイイ妹だなあ。
「うちに痺れてくれても、憧れてくれてもいいよ」
――まあ、痺れさせるのは、そっちの十八番っぽいケド……
「甦れ、悠久。還元せし、蒼空の大地、燦然の日輪。その全てを無に帰し、須臾にして復縁の依り代と……」
っておっとっとと……
「ちょっ! 妹に何するんですか! 詠唱阻止するにしてももう少し他の方法がッ!」
思わず敬語になってしまった俺、目の前では俺の想定を超える行為が行われていた。
効果音で言えば、ズギュゥゥゥン! つまり、妹は接吻されていた!
「兄でもまだやったことないのに!」
「いやいや、近親相姦系はヨスガ〇ソラ、ウィク〇スとかでも物議を醸してたでしょ。ナシなしぃ」
妹が自分の唇に《超絶魔術師機構》する。妹は自らの唇をファーストキッスされる前の状態に戻す。
「うちは……永遠の処女となれる!」
はいはい、そう言うのは、はしたないからやめましょう。下ネタを言える美少女ってもう無敵だよな。
「ところで、先ほどの話は……承諾して頂けますか?」
雷四郎は、キスしたのを一切気にすることなく話を続けていた。
「あー、わかった、わかった。俺たちが世の中に蔓延る悪の異能力者を成敗すればいいんだろ」
「やることもなかったし、正義の味方みたいでカッコイイじゃん」
「やってることは無銭飲食といっしょだけどね」
細かいことはいいんだってーの。俺たちは生まれながらにして、この異能力に悩まされてきたってこともあったんだ。だからこうして有効活用できるなら、能力も宝の持ち腐れじゃなくなるだろう。
「ちょうど今期は、見るアニメがなくて暇してたんだ」
「それでは、早速お二方に依頼するのは……《隠遁翼竜》の討伐です。
こんな現代にニンジャもドラゴンも存在するのか?
「生息地、頭数、何もかも不明。何しろ、隠遁ですから……」
――ちなみに期限は、一週間後です。それまでに討伐できなければ、異能力者管理委員会から私以外の人間が、あなた方を抹殺しに現れるでしょう。
「いー度胸じゃねぇか! やってやるぜ~ぃ」
――なんなら今からでも……
妹は血気盛んにファイティングポーズをとっている。まったくおてんばな娘だ。
「一応、私の連絡先です」
――来期の賢〇の孫のアニメ化、楽しみですね。
そう言って雷四郎は去って行った。疾風の如く、と言うより電流の如くと言った方がいいか。
「赤音となら、俺……絶対このミッションもこなせる気がする!」
「はぁ? 誰のせいでこんなことになったと思ってるの? うちは一切協力しないから!」
冷たく妹に足蹴にされる兄、俺たちの戦いはまだまだこれからだ!
俺たたENDでも終われる様にしておきました。ブクマお願いします。




