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俺と甲賀6


 《隠遁翼竜ドラゴンニンジャ》の能力を持つ、忍海おしみ 将影まさかげは《高貴なるものに伴うノブレスオブリージュ義務》ならぬ《能力者に課せられたのうりょくしゃオブリージュ義務》の精神をモットーに活動する異能者である。


 能力者同士が仲良くするなんて生ぬるい。きっとこの能力は、最後の1人まで生き残りをかけて戦う命がけデスゲームのためだと理解している。


 自分はそのバトルロワイアルへの切符を手にできた人間だと解釈している忍海おしみは、能力者を片っ端から殺している。それがたとえ無抵抗でも、戦意が無い者でも、無差別に無理矢理に、殺戮する。


「この世に悪がないってんなら、俺が悪になってやる。だからよ……」

――強い奴はかかってこい!


 この牽強付会けんきょうふかいな理論は能力者が生まれた解釈としてはある意味正しいとも言えるが、それにしても平穏に暮らしたい能力者にとっては迷惑極まりないものである。


 しかし、九頭竜も言っていたが多くの人間が特別性に憧れ、そのような能力者同士の対立もやぶさかではないと思っている現状をかんがみるとやはり忍海の考えは正鵠せいこくを射ているとも言える。


――とにかく、強い奴が正義だ!


 と考える忍海の考えはこの異能力者界隈に限った話ではない。弱いものが淘汰されゆく世界の理、世の絶対的ルールとも言える。


 灰鹿野はいがの 塵恢じんかい砲流ほうりゅう 重鋼じゅうこう忍海おしみ 将影まさかげの考えに賛同する人物でこの三人は、《忍海おしみ旅団》と名乗り、殺戮行為を繰り返している。


 この《忍海旅団》は甲賀の忍術村を拠点としているが、普段は灰鹿野はいがの 塵恢じんかいの《不透明な軍隊バンゲリングベイ》の能力によって誰にも気付かれること無く存在している。


 火威たちがこの《不透明な軍隊バンゲリングベイ》をい潜って、《隠遁翼竜ドラゴンニンジャ》の能力を持つ、忍海おしみ 将影まさかげのもとに辿り着けるかどうかは彼らの持つ運と実力次第である。


雅亮がりょうは、どんなアニメが好きなんだ?」


 もう誰彼構わずに能力者には好きなアニメを聞く俺、雅亮がりょうは少し嬉しそうな顔で言った。


「ニンジャスレイ〇ーだ。ちなみに……」


「ゴブリンスレ〇ヤーは嫌い……そう言いたいんだろう?」


 機先を制した俺だったが、その言動に荼毘雅亮だびがりょうは驚いたようで、


「すごいな! どうして分かったんだ」


 素直に感心し、火威の方を見て微笑した。


「まあ、ニンスレとゴブスレは、同じスレイヤーでも違うからな……」


 半ば適当に言った、と言うか勘で言ったことがまさか当たっているなんて思うわけないだろう。まあ、結果オーライと言えば結果オーライなのだが。にしても《竜殺しドラゴンスレイヤー》の使い手で忍者殺しが好きだなんてもうこいつ、《隠遁翼竜ドラゴンニンジャ》絶対殺すマンじゃねーか。


「俺の好きなのも当ててみてくれよ!」


 蛇穴夜叉さらぎやまたはキラキラした目で俺の方を見てくる。どうやら、こちらの蛇穴さらぎの方が精神年齢は低そうだ。


「そうだな……」


 考えるふりをするが何のヒントもないのに好きなアニメなんて分かるわけないだろ……


 と考えあぐねている俺に、虎走が何か伝えようとしている。


「兄貴ッ! これこれッス!」


 そう言って俺に見せているのはラバーストラップ。オッケー、全て理解した。


夜叉やまたの好きなアニメ……それは……」


「それは……?」


 蛇穴の期待に満ちた眼差しに緊張してしまいそうになるが、俺ははっきりと言い放った。


「それはソードアートオン〇イン! ……だろ?」


「…………」


 蛇穴は黙ったまま動かないので、俺は不安な気持ちで押しつぶされそうになる。他の面々も、この好きなアニメクイズを固唾を飲んで見守っている。


 ……どうだ、どうだったんだ。


「すごいッ! 火威ひおどしさんも九頭竜さんと同じぐらいすごい! どうして分かったんですか!?」


 どうやら正解していたようで安堵する俺。虎走、お前は本当に良いやつだよ……ありがとう。


「俺はその人を見ただけで、好きなアニメが分かる能力《視認娯楽察アイサイト》を持っているからな(大嘘)」


 なるほどそうだったんだと納得する蛇穴。SA〇ファンなら、きっと二刀流の剣術の能力だったりするのだろうかと勝手に憶測する俺。


「まあ、みんな飯も食ったことだし、ちょっくら敵城視察といきますか」


 九頭竜が立ち上がり伸びあがって準備体操をしている。


「まあ、敵がこの忍術の里にいるとは限らないッスけどね……」


 虎走も、軽くジャンプをして軽快な姿勢を見せていた。


雅亮がりょう夜叉やまたも準備は良いか?」


「いつでもいけますよ、火威さん」


「そうです、俺たちは絶対に《隠遁翼竜ドラゴンニンジャ》を倒す!」


 意気揚々の二人を見て俺は心強く感じた。


俺たちは忍術の里の受付を済ませて中に入る。


いよいよ、《隠遁翼竜ドラゴンニンジャ》と対面できる……のか?




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