雑務・仕度
投稿です。
よろしくお願いいたします。
簡単に言うと、学園の生徒が協会支部の方針を反対するために戦いを挑み、そこへ本物のテロリストの乱入によって学園が迷惑なテロリストの協力者というレッテルをもらってしまった。
だから協会支部も本格的に戦力を投入した。
その隙に本物のテロリストが使えそうな生徒を私兵化する、そんな攫われた哀れな生徒のためにミカエルがここに来たわけだ。
いいヒーローキャラだね。主役っぷり半端ない。
準備した甲斐があったよ。
感動感動。
資質のある人柱が自分から来てくれるから。
そんな頑張るミカエルくんのために現状を分析しようか。
彼はまず第四特区の協会支部のトップに反抗した、テロリストと呼ばれてる学園の生徒の味方をしたからだ。逆に協会側の生徒は一応この戦いは避けられないと理解したから犠牲の少ないように体を張って戦っている。
もちろん面白い情報を協会の上層部にリークしてある、学園とオリジンを煽るための資料をちょっといじっただけの簡単なお仕事だ、当然嘘をつかず事実のみを書いである。
すべてを書いたとは言っていない。
協会本部にとってミカエル一人はどうでもいい話だが、第四支部は彼らを敵と見なす可能性がある、まして彼は支部に敵勢力と認定された学園の生徒を守るといっていた、例え白ても黒になる。その権力を彼らを持っている。
では彼と協会側の生徒と手を組んでできるだけ生徒をこの戦争から外し、戦争を止める可能性はないのかというとそうでもない、実際ミカエルは協会側の生徒と手を組んだからここまで来れたが、如何にオリジンと好戦派を憎むべく悪役に仕立てるかを俺は半年をかけて考えたから別に協会と学園が和解したから戦争が止まることはない。
みんな大好きな利権である。
上層部を甘い飴で釣った。やったね。
必要があればこっちでその悪役を隠して恩を売るさ。
覚醒した主役のためにもう少し暴れてもらわないと。
以上はあくまで第四区での予想と彼の扱いだ、普通ならそっちと友好関係を築いていない第五では普通の協会所属の魔術師でいられるし、念のために手を加えておくか。
部外者に邪魔されたくないからね。
第四区の支部からの通信を改竄、は良くないから何らかの理由を付けて遅らせよう、と。
それでも根本的な解決にはならないけど。
なぜなら、彼が助けろうとしたのは第五区にとってテロリストである子供たち。つまり助けた瞬間、または助けろうとした瞬間に第五区の敵となる。逆に第四区にとってこの子供たちはもう敵ではないから無視するだろう。
つまりミカエルにとってどっちも敵になる道しかないわけだ、子供たちを助けたければ。
しかし本人はそれに気づく様子はない、もしくはそれでもいいと決めているか。
とても眩しい青年だ、真っ直ぐで素晴らしい。
「魔法使いか、それとも魔術師か。どっちかな、彼は。ま、そう簡単に覚醒する可能性のある人は見つからないか。」
それでも良い観察ケースになりそうだね。
回転数あるのみ。
ココアを飲み、頭の中で計画を調整する間に灯理はテーブルをセットする。
厨房にいないからエプロンを着けておらず、ウェストとスカートと太ももの綺麗なラインがよく見える。当の本人は男の目線にとても敏感で、尻目しただけで彼女にばれるレベルなのに、俺に何も言ってこないな。
一応家族だからかな?
「大丈夫なの?」
テーブルを拭きながら灯理が単刀直入に訊る。
ミカエルが大丈夫か、それとも。
「大丈夫だと思うよ。本気でテロリストの子供たちを助けるためだけにここに来たみたいからね、後先考えずに。本当に難しいね、人間は。」
肩をすくめる。
「で、どうするの?」
灯理は上目遣いで俺の目を見つめる、間近に見える若竹色の瞳は透き通って、生き生きした元気さが溢れ出している。ある意味見ていて元気になる絵みたいの少女だ。
「そうだね。計画通りなら何もしなくてもいいけど。テロリスト逮捕の成功率は五十パーセント未満だから、子供たちに負ける警察も見ものだね。どうしようか、やはり計画通り何もせずに見ようか。」
「ほら、悪役っぽい顔になっているよ。はぁ、後でちゃんと説明してね。」
微笑む灯理に頬を引っ張られた。痛い。
どう笑えばいいのだろうか?
「ああ、今度は、失敗しないさ。大丈夫。」
さて、少し忙しくてなるね、つまらない展開のフラグを折っておくか。
次で表側の主人公らしいキャラが登場します。