8 洗礼
章を使ってみました。
15歳になった少年少女達は教会で神官からの洗礼を受ける。これは宗教的な慣習ではなく、種族スキルの活性化とユニークスキルの発現を促すためのものだ。
種族スキルは子供の頃は弱体化している。これの理由は定かではないが子供同士のケンカが大きな事件にならないようにするという役割も担っているため、親からはかなりありがたく思われている。
ユニークスキルはその生命が有する経験などを元に発現するもので強力なものが多い。また、経験などを元にするために洗礼を受けたあとに発現する事もある。
さて、今年15歳になった俺は今、洗礼を受けるために教会に来ている。目の前には少し腹の大きさが気になる年の神官服のオジサンが立っている。首都の教会の神官長らしいので相当偉いはずだ。
「さて、トモヤさん。これからあなたの洗礼を行います。あなたのユニークスキルなどについての情報は一切他者に伝えない事をここに誓います」
「よろしくお願いします」
俺がお辞儀をすると神官長は柔らかく微笑み、俺を自身の隣に招き、女神像に祈り始めた。
「我は祈る。我らを見守る貴方のことを。我は敬愛する。我らを愛しむ貴方のことを。我は貴方に祈願する。此の者の解放を。成熟した精神を認め、此の者に力を」
俺の周囲が淡い水色に光り始める。暫く光った後、光は俺の体の中に入っていった。すると、俺の目の前にステータスが浮かんできた。
名前:トモヤ 8歳
種族:龍人(闇・氷)
レベル:5
体力値:160/160
魔力値:400/400
筋力値:170
防御値:90
俊敏値:250
器用値:270
知力値:240
幸運値:130
スキル
猫被りLv.5 刀術Lv.13 剣術Lv.11
ナイフ術Lv.9 体術Lv.20
ユニークスキル
龍言語、龍魔導、無詠唱、
種族スキル
龍化Lv.3 ブレスLv.4
称号
※天使『※※※※※』の加護、幸福の運命
ユニークスキルが3個もある!普通は1個でもあればいいのに。
「これはこれは」
神官長も驚いている。俺のステータスが見えているらしい。
「素晴らしいですな。ここまでのスキルはなかなか見ることは出来ません。無詠唱以外のユニークスキルは隠した方がいいかもしれません。少なくとも子供の頃は」
「はい、気をつけます」
両親には3個のユニークスキルがあることを話しておいた。それぞれマイペースな2人も流石に驚いていた。
今年から、学園に通う事になる。完全に寮生活になるので家にはめったに帰ってこれない。実家での暮らしを満喫しておこう。