7 少年の第一印象
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~~ヤエ・クズノハ視点~~
私はこの世界に来てから早くも5年が経過した。私は地球では抜刀術を嗜んでいた程度だったがこの世界に転移してからステータスを確認して驚いた。
名前:葛之葉 八重 16歳
種族:人族
レベル:1
体力値:70/70
魔力値:30/30
筋力値:40
防御値:30
俊敏値:180
器用値:200
知力値:300
幸運値:20
スキル
刀術Lv.20 体術Lv.8
受け流しlv.12 風魔術lv.1
称号
※※召喚に巻き込まれた者
まず驚いたのはステータスの存在、次に私自身のステータスの偏りのひどさだ。風魔術というのもわからない。幸いなことに私がいた『ヤマト』という国は親切な人が多く、見ず知らずの私に食事を提供してくれたり寝床を貸してくれた。近くの道場の師範代の直弟子になると皆が喜んでいたことがとても懐かしい。師範代のもとで5年間修行を積み、あっという間に免許皆伝を言い渡された。しばらくすると、師匠に呼び出された。
「ヤエ、お前はもう免許皆伝の師範代。いつまでも私のもとで修行をするわけにもいくまい。先日、東の隣国『聖龍共和国』から刀術の師範代を派遣してほしいという打診があった。あちらの国で弟子をとるというのも良かろう。見聞を広げるという意味でも行ってみんか?」
おそらくだが、この話は師匠に来ていたのだろう。わざわざ私にまわしていただけるのだ、断る理由がない。
「ありがとうございます。この話、受けさせていただきます」
「おお、そうか。ありがとう。いやぁ~、正直あの国の風土は儂の体に合わなくての、助かったわい」
え゛、師匠の体調第一?
「あぁ、もちろんお前を信用しているから任せたのじゃよ?(正直、儂より強いし)」
良かった。師匠に信頼されるのは弟子としてとても嬉しい。期待に応えなければ。
私は数週間馬車に揺られてようやく隣国の『聖龍共和国』に入国し、そこから数日竜車に揺られて国で最大の首都に入った。紹介状を門兵に見せるとすぐに警備隊長が出てきた。
「聖龍共和国へようこそ。依頼を受けていただけて光栄に思う。私が依頼主のスコティニアだ」
まさか依頼主だとは思わなかった。
「隊長、あとは私たちだけでも何とかなるので今日は早めにご家族と過ごされてはいかがでしょうか?」
この依頼主は部下にも慕われているらしい。額の鱗から龍人族ということはわかっていただけに驚いた。龍人族には傲慢な者が多いと聞いていたからだ。
「おお、すまんな。そうさてもらおう。早退したことを記録しておいて貰っていいかな?」
「おや?隊長がいないなぁ、まあ定時であがったことにしておけばいいか」
「はっはっは。給料はあげんからな?」
「「「「「えぇ~~~~?(笑)」」」」」
本当に慕われているな。いい上司のようだ。
「お待たせして申し訳ない。では家に案内させて頂きます」
「よろしくお願いします」
『御屋敷』に着いてからしばらくして、スコティニア様の御子息と面会することになった。
「トモヤ様、あなた様の刀術の指導を依頼され、やって参りました。これからお願いいたします」
「よろしくお願いします」
ややつり上がった目だがどこか愛嬌があり、可愛らしい印象を受ける。しかし目を合わせると私の体は僅かに戦闘態勢に入っていた。なぜかは分からなかったのでよく観察をしてみる。少年は完全にリラックスしている。それでも私の本能が告げていた。彼は圧倒的強者だと、そして彼を教えることが出来る幸運に私は感謝した。