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32 従魔『ヴァイス』

 学園長室を出て、校門にいるらしいアイツを迎えに向かう。


 「ねえ、トモヤ。もしかしてだけどさ・・・・・・。学園長が言ってた『デカい熊』って・・・・・・。『バトルベアー』じゃないよね?」


 アリスが青ざめた顔で尋ねてきた。




 バトルベアー

  体長が平均3mを超える熊の魔物の一種。爪、

  牙、腕、脚など全身を使った戦闘を得意とす

  る。冒険者ギルドの指定する推奨ランクはC。




 「惜しいな。熊の魔物には変わりないがちょっと毛色(・・)が違う」


 アリスの顔が青を過ぎて真っ白になってきた。


 なにせ異世界の魔物の定番とも言えるゴブリンやスライムでさえ討伐推奨ランクはFだが、一般的な成人男性が死に物狂いでなんとか倒せる程度には強い。魔物だって生きるためには死に物狂いだ。簡単に倒せるわけがない。

 そんな中でただの熊でも一般人にとっては絶望的なのに、さらにそこから魔物化で強くなっているのだ。幾ら強くても15歳の少女には刺激が強いのだろう。


 (実際に合ったら気絶するかもな。)


 アリスの表情に集中していると、もう校門に着いていた。アリスの顔も今度は赤くなってきたし、大丈夫そうだな。


 「ごっついオッチャンお疲れ様~」


 「オッチャン言うな!?これでも27なんだぞ!?」


 門番のオッチャンにあいさつをしたら驚愕の事実が発覚した。40代に見えるぞ!?


 「いや、そんなことよりも()()をなんとかしてくださいよ!?先輩が老けて見えるのは昔っからじゃないですか!?」


 もう一人いた若い門番が震えながら叫んでいる。野生の熊と遭遇したら静かにしたほうがいいんだけどなぁ・・・・・・。


 校門の外には一匹の熊がおとなしく座り込んでいた。


 体長約5m、毛の色は白、目は紅に光り、額からは親指位の大きさの黒い角・・・・・・。


 ・・・・・・。うん、間違いなく俺の従魔の『ヴァイス』だな。こんな熊の魔物がうようよいてたまるかよ。


 「あ、ああぁ・・・・・・。()()()()()()()()()!?バトルベアーが()()()するなんて聞いたことがないよ!?」




 白毛化

  本来体毛・体表が白ではない魔物が何らかのき

  っかけで体毛が白くなる現象。多くの場合通常

  の個体よりも強くなる。




 「目の前にいるだろ?俺の従魔のヴァイスだよ」


 ちなみに『ヴァイス』はドイツ語で『白』という意味だ。単純だろ?


 「グルルルゥ、ガァウ!」


 ヴァイスが『早く開けろ!』と急かすように吠えている。


 「門番のおっちゃん、門を開けてくれる?」


 「だ、大丈夫か?あの熊、今にも突進しそうなかんじで後ろ足で地面を蹴ってるんだが・・・・・・」


 「『門が開かないなら突き破る』ってアピールだよ」


 「おい!早く門を開けるぞ!!」


 門が開くとヴァイスはしゃがみ込み、全く動かなくなった。


 (自分から迎えに来いってか?)


 俺はヴァイスに歩み寄り、その顔を抱きしめる。暖かくてフカフカだ。ヴァイスも目を閉じて気持ち良さそうにしている。


 「よしよし。寂しかったのか~?」


 そのままモフモフしたら肩を甘噛みされて引き剥がされた。恥ずかしかったのか?

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