30 学園長からの呼び出し2
「ホッホッ、二人は相変わらずじゃのぅ。まるで野生の魔物じゃ」
相変わらずの鬼畜だな。
「相変わらずの鬼畜ジジイだね。フンッ!」
アリスも同じことを考えたようだ。腕を組んでそっぽを向いている。
「俺が魔物ならこんな恐ろしい場所に来ないね」
今でもできるだけ来たくはないしな。
「スマンスマン。トモ坊だけを呼んだはずなのにアリス嬢まで来たのでのう。興味を向けてしまったんじゃよ」
「それで?なんの用で呼んだんだ?」
この爺さんのペースだといつまでたっても本題に行かないからな。さっさと用事を済ませて帰ろう。
「おお、そうじゃったそうじゃった。トモ坊や、今までワシに見せておったあの翼。あれは龍翼ではなく竜翼じゃな?」
爺さんの表情が一気に引き締まり、突き刺すように鋭い視線を俺に向けてくる。・・・・・・。ちょっととぼけるか。
「なんのことだ?どっちも『りゅう』で差がないみたいだけど・・・・・・」
「ふざけるでない!ドラゴンの翼ではなく、トカゲもどきの翼を使っていたのかということじゃ!!」
ばれたか。まあソフィアを庇うときに普段よりデカい翼を出したし、当然か。
「まあね。今までは竜で充分だったし、これからも問題がない限りは竜翼を使おうと思ってる」
「お主はその二つを使い分けることが異質であることを分かっているはずじゃ!転生したばかりならまだしも、今なら自分の中に複数の竜や龍が存在している違和感を感じるはずじゃぞ!?」
「だからどうした?」
「っ!?」
爺さんに向けて強めの殺気を向けると、爺さんは息を呑んでこちらを睨み付けてくる。
「確かに俺の中には竜と龍が存在している。だが龍人に宿る龍の力には意識はない。もちろん、竜にも意識はない。そして俺に宿った竜と龍は属性が似ていたから過剰反応をせずに安定しているみたいなんだ」
ここで俺が爺さんに伝えたいことは三つ
1.竜と龍の力を持っていることの肯定
2.力の強い龍のほうが俺を乗っ取ることがないということ(竜や龍に意識がない)
3.二つの力を安定して使えているということ
爺さんは『学園長』だ。学生に被害を出してまう存在は可能な限り排除したいはず。だからこそ、俺は自分に危険性がないことをアピールしなければならない。
「まったく、そんなことは心配しとらんわい」
あれ?そういうことじゃないのか?
「はぁ。よいか?確かにワシは学園長という立場がある以上、生徒を危険から守る義務がある。しかしじゃ。ワシはトモ坊を小さい頃から見ておるのじゃよ。だからこそ、お前さんが危険だとは思っておらん。ワシがそれを把握しておかないと何かあったときに面倒だから聞いただけじゃよ」
そうか、考え過ぎていたみたいだな。
「そうか、爺さんありがとう。話すのが遅くなってごめん」
「気にするでない。ワシの立場を考えれば話し難いはずじゃ。話してくれてありがとうのぅ」
爺さんの表情が柔らかくなった。おそらく、堅い話しはもう終わりということだろう。
「それから、校門にデカい熊が座り込んでいるという報告があった。従魔の登録は確認してあるし許可も出しておいた。早く迎えに行ってやりなさい」
ああ、そうだな。拗ねてなきゃいいけど・・・・・・。




