29 学園長からの呼び出し
お 待 た せ し ま し た ー !!
ホームルームも終わり、制服を受け取ったので教室を出ようとすると、ルミナス先生に呼び止められた。
「ああ、トモヤ君。学園長が『坊やはこの後ワシの部屋まで来なさい』と言っていたぞ」
げぇ、面倒くさいなぁ。爺さん相手じゃ分が悪いし仕方ないか。
「分かりました。ルミナス先生。学園長の部屋はどこですか?」
「ああ、それなら私が案内しよう。すまないが制服を配り終えるまで待っていてくれ」
しばらくして、先生が制服を配り終えてこちらに来てくれた。
「遅くなったな」
「いえ、待っていませんよ」
「軍ならどやされるくらいには手際が悪かったさ」
そんなことを話しながらルミナス先生の後を歩く。左右の腕には当然のようにソフィアと藍が腕を組み、背中には何故かアリスが乗っている。
ガブがこちらを見て笑っているので『なんとかしてくれ』と目線で訴えるが、ガブは肩をすくめるだけ。通じてないなこりゃ。
ガブは付いて来る気はないらしく、俺たちが教室を出ると反対側に行ってしまった。
ソフィアが腕にしがみついたまま不満そうにしている。
「アリス、『羨ましいわけじゃない』って言ってたのに・・・・・・」
「う、羨ましいかったわけじゃないんだよ!?ただ、トモヤが師匠に近い雰囲気だったからつい・・・・・・。ト、トモヤは嫌だった?」
「大して重くもないからな、構わないぞ」
そう言うとアリスはほっとした表情になり、体の力を抜いてもたれ掛かってきた。
重いわけではないんだが・・・・・・、ささやかとはいえ・・・・・・、その・・・・・・、やわらかいな。うん。
左右の腕からギリギリと音がしているのは気のせいだよな?うん。そうに違いない。(現実逃避)
あとアリスが腕で体を支えているせいで若干首が締まっている。
そんなコントをしていると、ルミナス先生が呆れた顔をしていた。
「トモヤ君、人に好かれるのは長所だとは思うが・・・・・・、八方美人は良い印象受けないぞ?」
八方美人の意味は違う気もするが・・・・・・、まあ言いたいことは分かる。
「自分ではそんなつもりはないのですがね・・・・・・」
「はあ、まったく。そういえば、学園長の元へ行くのに本人以外も連れて行ってしまって良いのだろうか?」
先生がそう呟くと・・・・・・。
『構わんぞい、四人とも連れてきなさい』
「ひゃあぁ!?」
老人の声がどこからともなく聞こえて来た。
風魔法の『ウィスプ』かな?前の鎧から聞こえて来た意外と可愛い悲鳴は無視で。
「大丈夫みたいですね?先生」
「う、うむ。良かった良かった」
少し赤くなりながらも、何事も無かったかのように振る舞うルミナス先生に・・・・・・、
「先生、結構可愛い悲鳴だった」
グッドサインを送りながら炸裂するソフィア節であった。
「う、うるひゃい!?しゃ、さっさと行くぞ!?」
なる程。ルミナス先生はテンパると噛むのか。
新たにルミナス先生を加えたコントをしていると、先生の足が止まった。
「ここが学園長室だ。ノックをして自分たちで入りなさい。私はここで戻る」
「ありがとうございます。先生」
ルミナス先生にお礼を言った後、学園長室の扉をノックし、名乗る。
「トモヤ、及び三名、参りました」
『入りんしゃい』
学園長室に入ると、それなりに大きな机に腰掛けた一人の老人。背中のアリスの体が強張り、俺の背中から飛び降りると爺さんを睨み付けた。
多分、爺さんに殺気を向けられたんだろうな。俺もちょっとゾワッてしたし。
「ホッホッ、二人は相変わらずじゃのぅ。まるで野生の魔物じゃ」
相変わらずの鬼畜だな。




