23 決勝戦 トモヤ(無手)vs聖樹(両手剣)
二話連続でグロ表現が入ります。具体的にどうなっているかは描写してないからまだマイルドだと思うんだ。すまぬ!
決勝戦は学園長の紹介の後に入場らしい。さっさと終わらせてくれと説明してくれた女性スタッフ(教員?)に笑顔で伝えておいた。一秒でも早くあのクズをブチノメシたいんだよ・・・・・・。
『さてさて、いよいよ決勝戦じゃ。本戦から見ていて気にくわない選手もいたかもしれん。じゃがのぅ、彼らもまだまだ未熟。諸君達には先輩として余裕を見せてやって欲しいものじゃ。』
本戦の第二試合、アレを見たときは自分の目を疑った。降参した相手に切りかかるなんて。
そんなことよりも、何より許せないのはソフィアを傷つけたことだ。チビだの貧乳だの、よりによって『人間モドキ』だと?それはこの世界の誰もが忌避する言葉。かつての過ちを繰り返さないように、言葉の理解もできていない幼児に教えようとする親がいるほどの禁忌。多くの『獣人族』達が傷つく悲しい言葉。
うずくまる『獣人』を蹴る『普人』。
それはかつての『普人至上主義』の再来を彷彿とさせた。
『それでは入場じゃ、先に入場するのはセイジュ・フタバ選手!』
話しは逸れたが、あの男は必要以上にソフィアを傷つけた。心も、肉体も。アイツは・・・・・・許さん。
『そして次に入場するのは、トモヤ選手じゃぁ!!』
やっと呼ばれた。入場口を出てステージへと上がる。真っ先に目が向く先にいるのは『双葉聖樹』。
藍に聞いたところ、ヤツは彼女の同級生で小学生のころから頻繁に藍に告白してていたらしい。ほかにも月一で他の女子に告白していたとのこと。そんな不誠実な男が好かれる訳もなく、顔はいいくせに全員にお断りされたらしい。『閉店ガラガラ』ってわけだ。ザマァミロ。www
クズから目を外し、観客席をぐるっと見渡す。
「なあ、みんな。コイツはどうしたほうがいいと思う?」
観客に問い掛ける。
「実は、俺がどうするかは決めている。だが君たちの意見を聞きたい。単純なことだ。一撃で場外か、それともじっくりと身の程を教えてやるか。『場外』ならブーイング、『教育』なら歓声で教えてくれ」
そして、
鼓膜が破れそうなほどの大歓声が響きわたった。
手を挙げて静かにするように無言で呼び掛ける。すぐに歓声は収まる。やはり、このままではだめだな。クズに呼び掛ける。
「個人的に、貴様を許す訳にもいかん。掛かってこい」
「さっきはよくも僕の顔を踏んでくれたね。お礼参りしてやるよ」
ソフィアはあの後、決勝戦が始まるまでには目を覚まさなかった。『水魔法』の『自然治癒強化』をすぐに掛けたから傷跡は残らないだろう。だが、ソフィアの苦しげな表情がまだ目に焼き付いている。
「教えてやる。『人間モドキ』とは忌み言葉だ。他種族を侮辱し、虐げるこの言葉はだれもが嫌悪している」
「だからなに?異世界人の僕にはぁ~関係ないしぃ~?そんなどうでもいいこと知りませぇ~ん」
ああ、もうこの男を庇う奴は学園にはいないだろうな。せっかくのチャンスだったのにな。
「学園長、もう始めてくれ。時間の無駄だった」
俺は杖をステージの外に放り投げる。
「どうしたんだい?怖くなっちゃって始まる前に降参かなぁ?」
この男、これで挑発のつもりか?鼻の穴に親指突っ込んで手をヒラヒラする奴なんて初めて見た。
「プッ、鼻の穴が広がってもしらんぞ、ククッ」
思わず笑ってしまう。クズの顔があっという間に真っ赤になる。煽ったつもりはないんだがなぁ。
杖を捨てたのは単純に自分に対する縛りだ。俺の杖術は合気道がベースになっている。合気道はあくまで自衛の技だ。自分から相手を傷つけるために使ったら元の世界の師匠達に申し訳が立たない。何よりもコイツは自分の手で直接けりを付けたい。
『それでは、決勝戦の開始じゃぁ!!』(トモ坊、やり過ぎるんじゃないぞい)
学園長が小さく呟くが無視だ、無視。俺は立ったまま動かない。『龍化:龍鱗』を発動しただけだ。
「なんだよ?僕をやっつけるんだろ?さっさとこいよ」
「最初に言ったはずだ『掛かってこい』」
「後悔しておけ!僕に従え!『聖なる精霊剣』!」
クズの持つ両手剣が光る。スキル名からして聖属性。俺とは相性が悪いな。
ギイィィィンッ
だが、俺の『龍鱗』はその程度では傷の一つもつかん。
「どうした?それだけか?」
全くもって余裕だ。
「なら、お返しだ」
両手剣を持つ右手を俺の左手で掴み、握り潰す。右手でクズの右肘を掴み、逆間接を極めてへし折る。右腕をヤツの後ろにグルンと回し、肩を外す。ついでに後ろに回って左腕も同様に、右足でヤツの右膝を蹴り飛ばし、砕いておく。左足は残しておく。反撃の余地を残しておかないと『戦闘継続不可』をとられるからな。クズはまだ左足が残っているのに倒れ込み、泣き喚いている。このままだとすぐに『戦闘継続不可』をとられるだろう。
観客は静かだ。あまりの光景に呆気にとられているんだろう。そうだ、それでいい。あとは俺の分だな。
右足を上げ、クズの腰を踏み砕く。クズの腰からシミが広がり、ホワホワと湯気が立つ。心はしっかり折れたかな?
『セ、セイジュ・フタバ選手戦闘継続不可!トモヤ選手の優勝じゃぁ!!』
ウ、ウォオオオォォォォ!!!
学園長の宣言によって試合は終了した。歓声には躊躇いもあった。引かれちゃったみたいだな。




