表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/44

17 邂逅

  称号

   『時空を超えた愛』

    読んで字の如く、時空を超えてもなお愛し続けた者に与えられる加護。対象が近くにいるとき、その存在に気づきやすくなる。



 あの後、称号を『鑑定』したらこのような説明が出ました。この加護が与えられたということはあたしの大好き、いえ、愛する幼なじみである『新城 友也』がこの世界に転生しているのかもしれません。だって、その存在を感じるから(・・・・・・・・・・)

 この称号で一番重要な条件は対象との距離(・・・・・・)です。この説明文には『近くにいるとき』という曖昧な表記しかありません。なにしろ時空という想像もできない『遠さ』で取得できた称号です。『同じ世界』が『近く』だとしても不思議ではありません。

 ま、どこかで会えるかもしれないぐらいで考えておきましょう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 あのあと、馬鹿(双葉君)が『自分が勇者だ!』と名乗り出ました。『契約書に同意した奴は誰だ!?』とか言ってたくせに、嘘ということは一発で分かりましたよ。


 ちなみに『鑑定』では他人のステータスは見られないようでした。あたしの『鑑定』はユニークスキルなので通常のスキルレベルの上限であるlv.100と同じだそうです。つまり『鑑定』では他人のステータスをみることができないということですね。


 まあ、本当の勇者が名乗り出ないのは当然でしょう。ただでさえ周りから転移に巻き込まれたあたしたちから恨まれることは目に見えていますからね。むしろ名乗り出た馬鹿(双葉君)が本当にお馬鹿さんということがはっきりとしました。


 双葉君が騎士たちに囲まれて出て行くと、あたしたちはメイアさんに大きな客室に案内されました。

 客室の窓からの景色はとても綺麗でしたがこの建物が巨大なお城だということも分かり、皆で驚愕しました。


 残ったあたしたちは双葉君を勇者と認めておき、リーダー(いけにえ)として『利用』するということで話がまとまりました。残酷かもしれませんがあたしとサーシャちゃん、祐樹君以外の巻き込まれ組の『勇者』への怒りは相当なもので完全に抑えることは出来ませんでした。


 数日後、あたしたちはメイアさんに呼ばれ、今後をどう過ごすかを聞かれました。国王様も召喚に巻き込んでしまったことは申し訳なく思っているらしく、必要最低限の暮らしにはなるものの、このお城に永住してもいいという言付けがあったそうです。

意外なことに殆どの人たちが自立して生活をしたいと言っていました。例外はサーシャちゃんの取り巻きくらいです。本人達いわく『働かなくていいなんてサイコーじゃん』とのこと。

 この国はかなり治安がいいものの、盗賊などもいないわけではないしなにより魔獣が出るそうなので最低限の自衛は出来るように訓練をして貰うことになりました。訓練が終わった後はこの国の義務教育を受けることになる(この国の義務教育は15~20歳までだそうです)ので訓練期間は3ヶ月。

 あたしはその間に『雷撃魔法』を訓練することにしました。あとは基本的な近接格闘術ですがこれはあまり上達しませんでしたね。

 それぞれが得意分野を訓練で上達させ、いよいよ『聖龍共和国立 アルティミア学園』での生活が始まります。

 そういえば、『異世界でも義務教育はあるのかよ』と言って落ち込んでいる男子もいましたね。




 学園に到着してすぐに入学式です。普通ならあり得ませんが馬車の都合で少々遅れてしまったとのこと。急いで会場に向かいます。

 会場の入り口は2つあり、それぞれに『戦闘力に自信のあるもの』『戦闘力に自信のないもの』と張り紙がされています。どちらにするか迷っていると、


 「何を迷っているんだい?異世界人である以上、僕らは戦うべきだ!」


 謎理論を振りかざす馬鹿(双葉君)がいます。これがいるから馬車での移動からずっと空気が重苦しかったんですよね。


 「最低限の自衛しか出来ない人以外は『戦闘力に自信のあるもの』のほうに行くということでいいですか?」


 誰も返事をしないので仕方なく、あたしが提案をします。


 「まあそれならいいかな?足手纏いはいらないし」


 偉そうに、足手纏いはあんたでしょ。まあ体面的にはリーダーということにしているから言うことを聞くふりはしておきましょう。

 はだかのおうさま(双葉君)の指示(笑)で整列していると入り口から変わった一組の男女が入って来ました。

 女の子のほうは長袖、長ズボンの上に皮鎧を装備し、腰に二振りの短剣を装備しています。男の子のほうは(はかま)姿に手には杖を持っています。男の子のほうはなんとなく見覚えがある気がします。それになんだかドキドキする。ダメ!あたしにはとも兄という人がいるというのに!


 そんなことを考えていると観客席の一番上に誰かが出てきました。その人は魔法使い風のローブを脱ぎ捨て、話しながらも次々とポーズを決めていきます。リラックスポーズ、サイドチェスト、バック・ダブルバイセップ、サイド・トライセップス、アドミナル&サイ。合計5つのポーズを決め、その後は普通に(所々ポーズが入りましたが)試合のルールが説明されました。

 説明が終了すると同時にあたしは『雷撃魔法』を発動するための詠唱を始めます。

 その間に周囲の注目を集めるため、元ラグビー部の『熊谷くまがや 剛毅ごうき』君がユニークスキルを発動させます。


 「チャージ・アンド・タックルーーー!」


 彼はスキルによる補正込みで前方にタックルを続けます。そして自身もステージから落ちてしまい、失格となりました。合計36人(本人含む)も場外にしましたしステージにいても殆ど動けなくなっている人もいますから半分近くは今の攻撃で行動不能になったはずです。牽制のはずだったんですけどねぇ。まあ、あたしの魔法も殆ど完成です。あとは最後の一節。


 

 『その姿は刹那に表れ刹那に消ゆる、生命に畏怖を与え、かしずかせ、大地を伝わり、生命を撃つ』


 この詠唱、本当に恥ずかしいですね。なんとかできないでしょうか。


 「顕現せよ!『ライトニング・ブラスター』!!」


 足元に向かって(・・・・・・)魔法を発動します。電撃は地面を伝い、おおくの学生に無視できないダメージを与えました。ですが20人以上はその場でジャンプをするなどの対処を行ったらしく全員がこちらに向かってきています。

 近くにいたサーシャちゃんを始めとしたクラスメート達は所々焦げてピクピクしてしまっています。いったい誰が・・・・・・。




 あ、あたしの雷撃魔法のせいですかね!?




 まあ彼らにはあとでしっかりと謝っておきましょう。そんなことを考えている間に周りはすっかり囲まれてしまいました。私は恐怖のあまりしゃがみ込み、思わず小さな、本当に小さな声でどこにいるかも分からないあの人(・・・)に頼ってしまいました。


 『助けて、ともにぃ』


 とたんに周りに風が吹いて来ました。あたしの周りは全く風が吹いていませんが周囲はあっという間に強風、そして暴風になり、次々と人が飛んでいきます。

 そして、あたしのちょうど真上に大きな翼で羽ばたいている人がいます。こちらを見下ろすその表情を見た瞬間あたしは『称号』よりも早くそれ(・・)に気づきました。



 この人があたしの愛する『新城 友也』だと。

やっと、やっと次で主人公視点に戻れるよぉ。

そういえば・・・・・・。藍さんはどうしてボディービルダーのポーズをあんなに知っているんでしょうねぇ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ