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取り調べ(茜の場合)

小森 洋輔の取り調べと平行して三宅 茜の取り調べも行われていた。


茜は高校生時代に付き合っていた同級生との間に子供をさずかった。

当然、両親は出産に反対をした。それに反抗するように茜は家出をしたと言う。


家を出た茜は、相手の男と安いアパートを借り、一緒に住み始めた。

貧しくはあったが、それなりに幸せを感じながら暮らしていたある日の事だった。

相手の男が仕事中の事故で亡くなってしまったのだと言う。

労働基準監督署の調査の結果、不備は全面的に男にあるとされた。倒れてきた鉄筋材の下敷きになって亡くなった男は事故直前に職長の男と言い争いのケンカになったと言う。その後、男は腹いせに鉄筋材が立て掛けられていた壁を蹴飛ばし、その反動で倒れてきた鉄筋材に押し潰されたと言う。結果アルバイト社員だった事もあり茜には全く保証がなされなかった。

三才になっていた健太を抱え今更、親に泣きつく事も出来ず、健太を無認可の託児所に預けながら、懸命に健太を育てた。


そして、健太が小学校に上がる頃、学費が思いのほか、高額であった事から、パート先の人の知恵を借り、夜はキャバクラで働く事になっていったのだそうだ。


しかし茜にとって夜の世界はとても華やかなものであり客受けも良かった為、昼のパートを辞め夜の世界、一本で行くようになっていったらしい。



それでも健太に満足な事はしてやれず、もっと稼ぐ方法はないものかと考えていた時、会社を経営する初老の男が愛人契約を持ち掛けて来た。

"月々30万円とマンションを用意するので自分の娼婦おんなになれ" と言うものだったらしい。

最初は戸惑った茜だったが "健太の為" と自分を言い聞かせ、それに応じたと言う。

しかし、それとは裏腹に健太の面倒もおろそかなものになっていった。


初老の男に抱かれる事は、茜にとって苦痛以外の何物でもなかった。

そのウサを晴らすべく、同僚に連れられたホストクラブに通うようになったと言う。

そこで出会った若くイケメンの洋輔に惹かれていくのにそう時間はかからなかったと供述した。

やがて、洋輔の気を引く為にどんどんと金を注ぎ込み、気が付けば愛人から貰う30万円とキャバクラの給金だけでは追い付かなくなっていった。


そして、ついには愛人にその事がバレてしまい、月々の30万円と高額のマンションの家賃の支払いを失ってしまった。

それでも小森との関係を続けたいと願った茜は小森に言われるがまま売春するにまで身を落として行ったと言う。

限界を感じた茜は小森との関係も断ち切ろうとしたが、しばらくして小森が転がり込んできた。

その事が嬉しく、束の間の幸せを感じたが、やがて小森による健太への虐待が始まったのだそうだ。

最初は留めに入っていた茜だが、小森に嫌われる事を恐れた茜は、それを見て見ぬ振りをするようになっていったと言う。


そんなある日、小森が "一緒に逃げてくれ" と言って来たのだがこの時、茜はすでに母親ではなく一人の女になっていたのだろう。


彼女は後にこの事を "非常に後悔していた" と語った。

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