第2話
ハクオウは王宮の廊下を走っていた。
すると、
「お久しぶりです。応急魔法騎士ハクオウ殿。」
呼ばれたハクオウは立ち止まり、満面の笑みでお辞儀をして
「お久しぶりでございます、エイス侯爵。」
と言った。殿下が見ていたら猫かぶりだなと笑うだろう。
「本日はいかがなされたので?」
「いえ、殿下に呼ばれてきたのですがシンリに用がありまして。」
「聖龍様でございますか?お引き留めしてしまい、申し訳ございません。」
「いえ、大丈夫です。それでは失礼します。」
ハクオウは失礼のないよう、もう一度お辞儀をする。
最後まで笑顔でやり通したハクオウだったが、内心いらだっていた。
「あのジジイ。まじ、面倒だな。」
悪態をつきながら走っていると、シンリがいる部屋の前まで来ていた。
「「何者だ。この部屋は聖龍様がおられる。許可証を提出せよ。」」
「カイ、コウ、私だ。ハクオウだ。」
「「これはハクオウ様。申し訳ございません。今、お開けします」」
「別にいい。これからもシンリを任せる。」
「「はっ!了解しました。」」
2人が息ピッタリに答えた。
それを見たハクオウは扉を開け、中に入る。
「シンリ、僕は学園に行きたくない!」
「…ハクオウ、我はお前が心配なんだ。」
ハクオウの目の前には、巨大な白い竜がいた。竜は、シンリはハクオウに優しくそう言うと、手招きする。
「お前が我を作って、そのあと、この王宮にやって来たが・・・ハクオウ、我や殿下など王宮の者としか話したことがないだろう。ギルドの者やあの子たちを除けば。」
「人間なんて信用できない。シンリだってわかっているだろう。」
「それぐらい分かっているさ。でも、お前はもっと人のことを知るべきだ。」
「・・・」
「大丈夫だよ。我もついて行くし、あの子たち、いや、お前が連れて行きたい従魔全員連れて行っていい。」
「・・・本当?」
「我がお前に嘘をついたことがあるか?」
「・・・ない、けど。仕事はどうする?」
「王宮は大丈夫だが・・・。ギルドはそうだな・・・昼間はほかの者に任せて夜は仕事を一気に終わらせればいいだろう。」
シンリは結構ムチャなことをいいだした。
「シンリやあいつらがついてきてくれるなら別にいい。」
「そうか・・・」
シンリは尻尾でハクオウの頭を器用に撫でてあげていた。