Σラストヒロイン 共通①
――一人は寂しい。
父は冒険者をして生計を建てていて不在、母は幼い頃に病で死んでしまった。
村には同い年の子はおらず兄弟姉妹もいない私はいつも一人だ。
「誰でもいいからイケメンの彼氏ふってこーい!!」
森でそう叫ぶと木の上から男が降ってきた。
「あいててっ!!」
「ちょ、マジで降ってきた……大丈夫?」
私は男に手を延ばして、彼は立ち上がる。
「どうも、木の上で寝ていたら急な大きな声を出されたから驚いて……」
「木の上で寝てるなら私が大声出さなくても、いつかは落ちると思うわ」
痛いところを突かれたと男は苦笑いする。
「あ、よく見たらイケメン!」
「え、僕が?」
誉められ慣れないのか男は照れだす。
「私はルチカ、貴方の名前は?」
「ゼノアだけど……」
迫ると彼は後ずさる。
「私イケメンな彼氏探してるのよね。よかったら貴方と付き合いたいわ」
「うーん僕より良い男が都会には沢山いると思うなあ」
たしかに私はこの村から出た事がないから、彼よりイケメンを知らない。
「行きたいのは山々、でもこんなか弱い私が都会になんて行けるわけないわ!」
「か弱いかな……あーそれならこの宝玉をあげるよ」
ゼノアは綺麗な宝石を私の手へのせた。
「ありがとう! よーし都会のイケメン探しにいくわよー!!」
■
「アイドル的な生徒が足りない」
「いきなりなんですか学園長」
「授業があるのでもういいでしょうか?」
「君たちを呼び出したのは他でもない」
「は、はあ」
「君たちで将来有望な生徒を平民から見繕ってくるんだよ」
「将来が有望でも平民じゃ学園に通う学費も払えないのでは?」
「だから二名、学費をタダでね」
「金持ち連中は努力をしないから将来は親の金にすがるカスしかいないですしね」
「……つまり有望な生徒を育て、かつ失敗するリスクを考えても二名くらいなら問題はないだろうと?」
「君らが帰るまで他の先生がなんとかする。さあ一週間で探してきたまえ」
■
荷造りして森を駆け抜ける。
「今日はここで野宿ね」
誰もいないから一人言をいっても変な目では見られない。
「……完全に寂しい女よね」
せめてペットくらい飼えばよかった。
「うーん……」
――居眠りしていると草むらからガサガサ音がする。
「誰!?」
出てきたのは可愛らしい小型のモンスターだ。
「……なんだ」
安心して肩の力を抜くと、モンスターはこちらにトコトコやってくる。
「くすぐったい!」
モンスターが手に乗ると転がりだし、フワフワの毛で手のひらがむず痒い。
「なに?」
突然ドスドスと大きな音がした。
「ガルル!!」
モンスターが前方を威嚇する。
「なにあれ……」
物語りによく出てくるが私の住む田舎では現れたことがないドラゴン。