∮王女騒動 共通1章 3話 歪んだ平等
「ねー今日は新しくできた店いかない?」
「やめとく~今月ピンチなんだ~」
「まあ学費はタダだしありがたいよねー」
――この魔法学園プリマジェールは惑星ドゥーブルフロマージェにある。
学園には王侯貴族や平民が入り乱れているが、平等と博愛をモットーにしているらしい。
そして学費も寄付のみで無償だ。
――学園長が大ざっぱで副学園長が経理をしているパターンだろう。
「オイテメー無視してんじゃねーぞ!」
いきなり声がして振り向くと私じゃなくて、別の誰かが絡まれていた。
「……うざい」
―――それはフォドルだった。
「先輩に向かってシカト決め込むたあ、さすがはマキュス星の天才少年サマだぜ」
突っかかているのは赤系の髪をしているので、ほぼ確実にマージルクス星人。
調査票によるとマキュスとマージルクスの民は千年前の戦絡みで冷戦中だ。
◆さて、私はどうすべきだろう。
→《間に入る》
《無視する》
「あ、こんなところにいたのね」
私はフォドルに用事があるフリをしながら気をそらすことにした。
星府policeで働く父に護身術を習ったので万が一のときは魔法を使われる前に腕をへし折ればいい。
「おい何してるんだ!」
タイミングの悪いところにウィダスが駆けつけてフォドルをかばうように立つ。
「くそっ!!」
男は逆上し氷の魔法をつかって刃を作る。それが私達に飛んできたので二人を突き飛ばして両腕で受けた。
『リンゴの皮を繋げて向きたいんだ~』
『まだ小さいんだ。ナイフなんてもったら……』
『いたた……』
保護されてしばらくの頃、私はナイフで指をきった。だけど痛みがあっても傷はつかないのだ。
『私は地球の人じゃないの?』
『うーん、それはわからないな。でもねたとえ地球の人じゃなくてもナキヒが大切だよ』
――氷の刃は粉々に砕けて散った。