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Lunatic gift ~蠍座の死線~  作者: 蒼森 あめ
第二章 月に叢雲 花に風
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第五夜 強襲 14

(詩歌…、君は本当にそれでいいのかい?)

「ツッキー、こっちへ!」


強い口調で呼ばれ、野絵は少し驚く。

いつもの優しげな話し方ではなく、緊張感が漂うような強い言葉に、彼が逼迫している状態なのを感じ取った。



「は、はい」


小走りで詩歌の元へと駆け寄ると、優しく肩を掴まれ、体を反転させられた。



「カードを良く見て強く念じるんだ。ツッキーはどんな力が欲しい?」

「わ、私はみんなの役に立てるなら、どんな力でも…」

「違うだろ、ツッキー」


耳元で甘く囁かれ、思わず体が大きく揺れる。

士音が何か言いたそうに口を開いたが、一瞬躊躇し、そのまま黙り込んだ。



「お前の欲する力はもう決まっているはずだ。誰の為でもない、自分の為だけに力を求めるんだ」

「自分の…為」


本当は最初から手に入れたい力は決まっている。

幼い頃から憧れて、見ているだけで満足していたもの。

その力が自分に宿ったらどんなに素敵なことだろう。

どんなに手を伸ばしても、自分には届かないものだと思っていた。

どんなに学習しても、余計遠くに感じた。


寂しい夜も。

悲しい夜も。

胸が張り裂けそうだったあの夜も。

優しく野絵の事を見守り続けてきてくれた。




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