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第五夜 強襲 12
先程までじゃれあっていた二人は真剣そのもので、横顔が七色に染まっている。
野絵と士音は息をするのも忘れ、その球体に見入っていた。
「「鳥籠の終幕」」
二人が叫んだと同時に、カードが虹色に輝き、ダンスを踊っているかのように回転し出した。
闇夜に突如表れた虹のようで、野絵は思わず感嘆の声を漏らす。
「わー、綺麗っ!」
無言でカードを見つめていた士音の元に、一枚のカードが天井からゆっくりと舞い降りてきた。
そっと両手で受け取ると、虹色のカードが青く発光し、ガラスが砕けるような音を立てて消滅した。
カードの代わりに今度は士音の体がダイヤモンドのように光り出す。
「カードが!」
「大丈夫だ。上を見てみろ」
詩歌の言う通り上を見ると、星の形をした紋章が頭上高く浮かび上がっていた。
紋章から沢山の小さな星の欠片が溢れ出て、流れ星のように士音に降り注ぐ。
「これは…星?」
「そう、カードがお前を選んだんだ。プリンス君はどうやら星魔法に選ばれたみたいだな」
「星…魔法」
きょとんとした顔で紋章を見つめていた士音の背中を湊が思いきりどつく。




