95/124
第五夜 強襲 10
「そのカードは何ですか?富柄先輩!」
「湊でいいよ、ノエノエ。これは二人の魔力を引き出すカード。これから二人に魔法を授けるんだよん!」
軽い口調とは裏腹に湊の目は笑っていなかった。
邪魔してはいけない雰囲気で、野絵は口を真一文字に結び、一歩下がる。
「出来たっ!」
十枚のカードを均等に二列に並べると、その内の一枚を手に取り、二人に見せてきた。
「二人共よく見て。これは白いカードだよね?」
目の前に差し出されたカードは、何の模様もない真っ白なカード。
裏は訳の分からないピエロみたいな人物が、ハートを抱いて、不気味に笑っている。
湊は裏と表を何度も見せると、静かに元の場所に戻した。
「タロットカードじゃないんですね」
「うん、違うよん。これは未知数の二人を導いてくれる魔法のカード。じゃ、詩歌手伝っておくれ!」
軽口を叩く湊だったが、表情は真剣そのものだった。
詩歌に目配せをすると、彼も真顔で頷く。
「OK!いつでもいいぞ」




